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職人の味を損なうことなく店舗拡大を加速 「のれん分けの進化系」で躍進するラーメンチェーンの強さとは

油浅 健一
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加盟金、保証金、ロイヤリティをゼロの理由

 3つ目の「ビジネス視点の拡大をしないこと」が、ある意味では同社の独自性といえる部分かもしれない。ラーメンが好きでラーメンビジネスを始めたい。そんな思いを持った人を重用する同社は、「のれん分け」にあたって、加盟金、保証金、ロイヤリティをゼロとしている。代わりに麺とスープを仕入れてもらうことがその「条件」となる。

 新規に独立する店舗にとって、うまいスープと麺を購入することはプラスでしかない。しかも初期費用が不要で、繁盛店のノウハウまでもらえるのだ。だからこそだろう。同社には、売上が低迷するラーメン店からも相談が来るという。

21年8月期、ギフトは+86店舗の純増を実現、うち2/3がプロデュース店だ
21年8月期、ギフトは+86店舗の純増を実現、うち2/3がプロデュース店だ

 このきわめて理にかなったシステムで開業を希望する店舗をサポートするのが、同社のプロデュース事業だ。その名の通り、他業種や新規などの開業を場合によっては土地探しから資金調達まで支援し、蓄積した繁盛店のノウハウも惜しみなく提供する。ノウハウをしっかりと浸透させた上で、独自裁量を持つ「プロデュース店」としてのれん分けする。

 成功のためのノウハウを実践し、蓄積する店舗は「直営店」だ。これまでの知見に加え、新たな施策も試行錯誤しながら、うまくいったものを秘伝のたれのようにより磨き上げ、満を持してプロデュース事業で新規出店の店舗へ開放。プロデュース店を繁盛店に育て上げるためのエキスを“醸造”していく。

 同社にとっては繁盛店が増えるほどスープと麺の売上げが増大し、企業として利益がアップする。開業の初期費用よりも定額の素材収入によって長期的に潤う。加盟店も同様であり、まさにウィンウィンの関係性で関与する誰もに益があるシステムとなっている。

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