職人の味を損なうことなく店舗拡大を加速 「のれん分けの進化系」で躍進するラーメンチェーンの強さとは

油浅 健一
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ラーメンフリークゆえのこだわり

 同社代表の田川翔氏はもともとラーメンフリーク。中学時代からラーメン店の経営を思い描いていたほどのラーメン愛を持っている。横浜家系での修行を経て独立、独立後はスープの味が思うように出せず、店を開けなかったこともあるほどのこだわり型の人間だ。

 「スープと麺を工場で一括製造」というと職人的な発想からすればやや邪道な印象もある。だが、昨今の食材製造技術は飛躍的に向上しており、納得の味を作り出すことはさほど難しくはない。むしろ、麺とスープというラーメンの最大の肝は譲れないという意味では、強いこだわりの裏返しともいえる。

 こうした割り切りができる点が、田川氏のビジネスマンとしての才覚であり、急成長の源流でもある。なぜなら、ラーメン店ではスープの仕込みが最大の手間であり、売上にも深く影響し、繁盛店になれるかの分岐点にもなるからだ。多店舗化を進める上で、まさに「秘伝のスープ」を均等に分ける戦術としてベストな選択が、スープと麺の工場での一括生産というワケだ。

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