京都・八幡、エジソンゆかりの地で楽しむ老舗の名物餅

2023/12/08 05:59
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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歴史ある和菓子店へ

 記念碑を見たら、次に行くところも決めていた。それは八幡市で有名な和菓子店である。実はこのお店、かつてラジオでCMが流れているのを聞いたことがあり、いつか機会があれば寄ってみたいと考えていた。

 ケーブルカーを降りてから歩くこと5〜6分、お目当ての「走井餅老舗」にたどり着く。事前調査によれば「京都・石清水八幡宮 門前名物」とのこと。やはり歴史ある場所を訪れたら、老舗で休憩するのが落ち着くというものだ。

八幡市で有名な和菓子店「走井餅老舗」で休憩する

 店内へ入るとお客は私一人だった。「お好きなところにどうぞ」と案内され、庭に面した4人掛けのテーブルに座る。

 メニューには、「栗ぜんざい」や「あべかわ餅」のほか、うどん、赤飯などの食事も載っている。私は定番の「走井餅セット」、抹茶付きを頼んだ。

 注文品が来る間、あらためてスマホで和菓子店のことを検索してみた。起こりは明和元年(1764)で、250年以上の歴史がある計算だ。滋賀県・大津で創業、明治43年(1910年)に6代目が京都で商いを引き継いだと書かれていた。

庭に面した4人掛けのテーブルに座り、定番の「走井餅セット」、抹茶付きを頼んだ

 ここまで読み進め、走井餅老舗が京都に来た頃、エジソンは何をしていたのだろうと興味を持った。Wikipediaを見ると、トースターを発明した年であることがわかった。白熱電球に比べると、人類に与えたインパクトは劣るが、偉人のあくなき好奇心、探究心の一端を垣間見た気がした。

 そうこうしている間に目の前に甘味が置かれた。餅は細長く、刀の「荒身」を模しているのだという。早速、いただくと餡は甘さ控えめで上品なお味。抹茶をそっとふくむと、とろりとした何とも言えない食感が口いっぱいに広がった。あぁ、美味である。

 ゆったりとした贅沢な時間を楽しんだ後、店を後にした。大変満足した。

目の前に甘味が置かれた。餅は細長く、刀の「荒身」を模しているのだという
京阪電鉄京阪本線、石清水八幡宮駅前に立つエジソン像

 駅前に戻ると、さっきは素通りしていたのか、エジソン像があることに気づいた。立ち止まって、しばしその尊顔を拝する。

 エジソンと竹──。その関係は、八幡市民の大きな誇りになっているに違いない。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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