景気判断据え置き、コロナによる下振れリスク注意=11月月例報告
[東京 25日 ロイター] – 政府は25日、11月の月例経済報告で景気の総括判断を「新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる」とし、前月の表現を据え置いた。ただ先行きに関しては、「感染症が内外経済を下振れさせるリスクに十分注意する必要がある」との記述を加え、下振れリスクに軸足を置いた書きぶりとした。項目別では、「生産」を上方修正した一方、「設備投資」を下方修正した。
雇用情勢の弱さ続く
総括判断は7月以降5カ月連続で同じ表現を踏襲した。もっとも内閣府によると「同じ横ばいでも10月がレンジの上の方とすれば11月は下の方」(幹部)といい、下振れリスクを意識している。
「設備投資」は、10月の「弱い動きとなっている」から「このところ減少している」に引き下げた。7-9月の設備投資が2四半期連続のマイナスとなり主要国と比べ伸びが低いことや、機械投資の減少トレンド、4-9月のソフトウエア投資の減少などを反映した。
国内総生産(GDP)に占める比重が大きい「消費」は「持ち直している」との判断を据え置いた。雇用者報酬が下げ止まるなかで、新車販売台数や外食売上高などが持ち直しているためだ。11月も、週当たりの消費額は過去3年の水準で推移しているが、足下における国内の感染者数増加による下振れリスクには十分な注意が必要としている。
雇用情勢についても「感染症の影響により、弱い動きとなっているなかで、雇用者数等の動きに底堅さもみられる」との表現を据え置いた。雇用者数が増加しても、総数が3月と比べて約100万人少ない状況や、失業者数の緩やかな増加などを懸念している。
「生産」については、10月の「持ち直しの動きがみられる」から11月は「持ち直している」に引き上げた。輸出の復調を受けて11月まで増加が続くとの見通しを反映した。
景気の先行きについて下振れリスクに注意を促す文言を記載するのは、コロナ感染が急拡大した3、4月以来。政府としては感染拡大に伴う消費者のマインド萎縮による経済活動停滞、欧州などの感染再拡大と経済活動停滞による輸出・生産下振れなどのリスクを懸念している格好だ。