景気判断7月から据え置き、輸出・生産持ち直し=8月月例経済報告
[東京 27日 ロイター] – 政府は27日、8月の月例経済報告で景気の総括判断を「新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、このところ持ち直しの動きがみられる」とし、7月の表現を据え置いた。項目別では、全14項目のうち「輸出」「生産」の2項目を上方修正した。
先行きについては、社会経済活動のレベル引き上げていく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、「持ち直しの動きが続くことが期待される」としたが、「感染症が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある」とし、先行き不透明感を注視する姿勢を維持した。
国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費も、天候不順や感染者数の増加を背景に回復ペースに課題が残る。
輸出、生産を上方修正 海外経済改善で
輸出は、7月の「感染症の影響は残るものの、下げ止まりつつある」から、「持ち直しの動きがみられる」に上方修正した。上方修正は2カ月連続。内閣府幹部は「主要貿易相手国の中国、米国、欧州の経済の持ち直しを背景に、輸出総量指数も4━5月を底に上向いている」と述べ、主要国における日本車の販売台数が好調になりつつあると指摘。それに伴い、米国を中心として完成車、部分品を含めて自動車関連材の輸出が持ち直している。
生産は、7月の「総じてみれば、減少しているものの、このところ一部に持ち直しの兆しもみられる」から、「一部に持ち直しの動きがみられる」に上方修正。輸出の持ち直しを受け、輸送機械を中心に鉱工業生産は7―8月にプラスとなっている。だが、内閣府幹部は「全体として持ち直し感がはっきりとしないので、『一部に』とつけて少し慎重に上方修正した」と説明した。
その他、「企業収益」は7月の「急速に減少している」から「大幅な減少が続いている」に表現を変更した。「国内企業物価」も7月の「下げ止まっている」から「このところ緩やかに上昇している」に表現を変更。他の10項目は7月の判断を据え置いた。
個人消費は6月に反転増加、回復に課題
個人消費は7月の「このところ持ち直している」で据え置いたが、今後の回復ペースには課題が残る。足元では、家電販売が前年比プラスで推移しているほか、自動車の新車販売台数のマイナス幅が縮小傾向にある。一方、個人消費金額をみると、例年消費額が増加するお盆休みの消費が今年は振るわなかった。同幹部は「(新型コロナウイルスの)感染者数が増加したことや、7月の長雨の後に8月は猛暑が続いたことなど天候不順もあり、消費のパターンが不安定な動きをしている」と指摘する。
消費総合指数は6月に大きく反転増加し、同幹部は「新型コロナウイルスの感染拡大前の水準におおむね戻りつつあるが、この先どうなるかが課題だ」と警戒感を示した。