思わず「ブラボー!」、知られざる京都の一面 日本最古の中央卸売市場で楽しむ老舗定食屋の味
しばらく放心状態のまま天井を眺める
店内に入ると、5卓あるテーブルはすべて埋まっていた。店員に「1人です」と伝えたところ、相席を促され適当な席に座る。
壁には「日替わり定食」のほか、「焼魚定食 800円」「うなぎ丼 同」、お造りの「盛合わせ定食 1100円」などの手書きメニューがあった。私は空腹にふさわしい料理はどれかと考え、「中トロ定食 1200円」を注文した。
料理がくる間、周囲を観察していると全員が男性。作業着姿の市場関係者のほか、スーツに身を包んだサラリーマン、またリュックを抱えた旅行者風の人もいる。
料理を運んでいるのは、やや落ち着いた年齢の金髪女性。伝票を確認しながら、お盆の上に小鉢を置いたり、戸棚から食器を下ろしたりと忙しそうに働いている。奥の厨房に視線をやると、黙々と調理する年配の男性の姿が見えた。無言の連携のもと、実現している効率的なオペレーションを感じる。
少しして、運ばれてきた定食がこれである。
中トロをアップ。
まずは味噌汁から。割り箸で具を確認した後、椀を持ち上げ、すっと汁を口に含む。うん、薄味で好きな味だ。
いよいよメーンの中トロである。
一番手前にあった一片を箸で持ち上げる。
わさびを多めに入れ、事前に攪拌しておいたしょうゆにつけて口に入れる。心の中で思わず「ブラボー!」と叫んだ。間髪入れずご飯を掻き込むと、久しぶりの食事に早くも胃が反応している。たまらず、中トロをもう一片、追加投入した。
それから大根おろし&釜揚げしらすやたくわんで時々、口をリセットしつつ、思う存分に中トロを楽しんだ。最後は、ちょっとだけ残しておいた味噌汁でフィニッシュする。
ごちそうさまでした。しばらく放心状態のまま天井を眺めていた。
満足な気持ちで店を後にする。競りはとっくに終わっており、活気のある時間帯ではない。だが、あちこちで軽車両や、「ターレットトラック」と言われる小型の乗り物で移動する人の姿があり、あらためて中央市場にいることを感じさせてくれた。
「京都」駅から、わずか1駅の「梅小路京都西」駅の周辺エリア。ちょっと違った京都を楽しみたい人におすすめしたい。
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