ナショナルブランドとは?どういうものがナショナルブランドに当たる?徹底解説!
ナショナルブランドとは
ナショナルブランド(以下NB)とは、メーカー自らが商品に付けた商標(ブランド、トレードマーク)の呼称の一種である。全国的な販売を展開し、「誰もが知っている」高い知名度を持つ商標がナショナルブランドと一般に呼ばれているが、特定の権利を意味するものではない。また明確な定義はなされていないのが現状である。
国内で長い歴史を持つ商標としては、法整備が始まった明治時代に商標登録された森永製菓(東京都)の「エンゼルマーク」、キリンビール(東京都/当時は麒麟麦酒)の「キリンビール」、味の素(東京都/当時は鈴木製薬所)の「味の素」などが挙げられる。当時から全国販売を展開していたことから、NBの先駆けと言える条件を満たしている。
様々なブランドの名称
ブランドにはNBの対義語として、スーパーマーケットやドラッグストアなどが商標を登録しているプライベートブランドがある。その他にも、ブランドの名称として地域で有名な商品のローカルブランドやリージョナルブランド、世界的に有名なグローバルグランド、さらにメーカーブランドやストアブランドなどがあるが、基になる権利は商標登録された商標権である点は共通している。
登録商標としてのブランド
商標として登録されたブランドの「マーク」や「ネーミング」は、「商標権」という知的財産権で保護されており管轄は特許庁である。商標権の存続期間は、設定登録の日から10年となっている。ただし、登録事業者が商標の存続期間中に蓄積した信用を保護するために、何度でも更新が可能となっている。なおわが国の商標制度は、明治17年6月に商標条例が制定されたのが始まりとなっている。
商標のマークには、ハウスマーク、ファミリーマーク、ペットネームという区分がある。ハウスマークとは「TOYOTA」や「SUNTORY」など、会社を表す社標を示す。また自社の同系列商品やサービス内容のカテゴリーを表すのがファミリーネーム(ファミリーマーク)であり、個別の商品およびサービスを表すものはペットネームと呼ばれる。
ナショナルブランドを展開するメリット
NBを展開するメーカーは、消費者から商品に対する高い信頼性を寄せられている。そのため、スーパーマーケットなど販売店との取引条件の交渉において優位性を得やすい。またNBは、ブランド商品を所有する満足感を消費者に与え、企業ロイヤリティを高めるなどのメリットがある。企業ロイヤリティなどのメリットを背景としてブランドをシリーズ化し、低リスクで商品ライン拡充への貢献も期待できる。
ナショナルブランドを展開するデメリット
NBは一部の高級ブランド品を除き、全国的に販売されている商品が多い。そのため、同種商品のナショナルブランド間の競争が激しく、新商品開発や販促などの負担が増加することがある。
またNBメーカーがPB商品を提供する場合もあり、自社のNB商品と提供したPB商品が競合する場面もある。
ナショナルブランドの実際
ここでは、国内で販売されているナショナルブランド数のイメージ、ファミリーネームとペットネームの例、また膨大な商標登録の中から確認したい商標を検索する方法を紹介する。
ナショナルブランド数のイメージ
わが国では、食品から家電、情報通信機器、医薬・化粧品、トイレタリー商品、その他のあらゆる商品分野にナショナルブランドが存在している。テレビCMや新聞広告で見かける商品の多くはナショナルブランドである。
令和2年度に出願された商標登録件数は約18.5万件であり、ナショナルブランドに該当する件数の区分はされていない。件数のイメージの参考として挙げられる数値は、2018年度における国内の商標権所有件数は約153.1万件、また2017年時点の調査では、大企業1社あたりの商標出願件数は中小企業の3倍という結果までである(以上、特許庁調査)。
ファミリーネームとペットネームの例
乗用車は、すべてがナショナルブランドとなっている。トヨタ自動車(愛知県)のカローラシリーズのカローラはファミリーネームに該当し、そのシリーズ車種として発売されているアクシオやフィールダーなどはペットネームとなる。
登録商標の検索方法
商標登録は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を使うと、無料で簡単に商標の検索と閲覧ができる。例えば検索欄に「COROLLA」と入力するだけで、検索が完了する。登録番号(第736215号)、登録日(1967年3月20日)、直近の更新登録日(2017年2月7日)、存続期間満了日(2027年3月20日)、権利者トヨタ自動車株式会社などの情報が画面に表示される。