高収益見込めるD2Cとは?メリットとデメリットを徹底解説!
D2Cとは、Direct to Consumer(ディレクト・トゥ・コンシューマー)の略で、生産者や販売事業者が直接消費者と取引をするビジネスモデルのことである。
実店舗で消費者が商品を購入するB2Cモデルの場合、商品・サービスの供給には、卸売業者や小売店が介在してきた。EC(電子商取引)もダイレクトというわけではなく、あいだには「アマゾン」や「楽天」をはじめとするプラットフォーマー(ECサイト運営者)が入る。
一方でD2Cモデルでは商品を製造しているメーカーが自社運営のECサイトを通じて、消費者に商品を販売するため、従来の販売モデルにおいて仲介業者に支払っていた手数料のほか、流通コストもかからない。そのため、利益率が向上し、収益性も高まる。
D2Cの歴史
D2Cが始まったのは2008年頃。米国で「AWS」(アマゾン・ウェブ・サービス) などのデジタルプラットフォームが立ち上がったことをきっかけに発展し始めた。
それまでは、ECを自前で展開しようとすると、サーバーをはじめとするハードへの初期投資や、ソフトウエア開発の資源確保・定期的保守管理やデータ容量管理を自前で準備しなければならなかった。しかしAWSは、初期投資や契約費用がかからず、利用量ごとの料金のみでECサイトの構築ができるようになった。そのため、小規模なスタートアップ企業でもD2C事業の立ち上げが可能となったのだ。
D2Cのメリット・デメリット
D2Cのメリットとしてまず挙げられるのは、先述した通り収益性の高さだ。メーカーが商品開発、製造、販売を自前で行うため手数料や流通コストがかからない。そのため、適正な売上さえ得られれば、利益率が向上し、収益性も高まる。
また、マーケティングに幅を持たせられることもメリットだ。自社ECで商品を販売するため、販売業者の都合に合わせずに独自のマーケティングを展開することができる。たとえば、ブランドストーリーやコンセプトなども、ダイレクトに消費者に伝えられる。
一方でD2Cのデメリットは、サプライチェーンの仕組みづくり(受発注・在庫管理・商品発送・返品)のほか、顧客の開拓や商品の認知度向上に至るまで、自ら行う必要があり、円滑に運営できるようになるまで時間を要することだ。
D2Cの実例
D2Cの実例として、ニューヨークのコスメブランド「Glossier(グロッシアー)」について取り上げる。Glossierは、ヴォーグのファッションアシスタントだったエミリー・ワイス氏が立ち上げた。
「顧客中心主義」を標榜する同社は、オリジナルのコミュニティ「Into The Gloss」を通じて顧客の声を反映し、モノづくりに生かしている。こうして生まれた商品は消費者の支持を集めて同社は急成長を遂げ、ついにはユニコーンの仲間入りを果たした。同社はD2Cの成功モデルといえるだろう。