中四国・九州が地盤のイズミは4月11日、2025年度(26年2月期)までの中期経営計画の見直しを発表した。21年度からスタートした第二次中期経営計画だが、資源価格高騰や円安進行による物価高が想定以上に進んでおり、水道光熱費や建設コストが大幅に上昇しているため、投資配分やKPI(重要業績評価指標)を見直す。
同社は30年の長期ビジョンとして、中四国・九州を中心に300店舗体制の実現、営業収益1兆円(「収益認識に関する会計基準」等適用前)、売上高営業利益率5.5%(同)の達成を掲げているが、25年度までを成長投資の期間と位置づけ、累計投資額(21〜25年度)を当初計画の1500億円から1550億円に増やす。
投資配分も見直し、新店投資は790億円から480億円へ減額、新規出店数を33店舗から20店舗に減らす。確実な投資リターンを見込める既存店活性化投資は、270億円から570億円へと大幅に増額。M&A(合併・買収)を含むグループ戦略投資も160億円から250億円へ増やす。
エリア戦略として、すでに一定のシェアを持つ広島、山口、福岡、熊本の4県を重点エリアと位置づけ、出店・活性化・M&Aを組み合わせたドミナント戦略を加速させる。兵庫県や長崎県などその他のエリアについてはM&Aを中心にシェアを高めていく方針だ。
第二次中計のKPIとしては、営業収益は8300億円(「収益認識に関する会計基準」等適用後では5900億円)に据え置くが、投資額の増額や水道光熱費の上昇を織り込み、営業利益は当初計画の450億円から410億円に、ROA(総資産経常利益率)は8.5%から7.7%に、ROIC(投下資本利益率)は7.9%から6.9%に、ROE(株主資本純利益率)は9.4%から8.7%にそれぞれ引き下げる。
なお、同日発表した23年2月期連結決算は、営業収益が4601億円、営業利益が336億円、純利益が231億円だった。当期から収益認識に関する会計基準を適用しているため前期との比較を公表していないが、同基準を考慮しない単純比較では営業利益は3.1%減、純利益は0.1%減だった。新基準ではテナント関連を中心に営業収益の計上を総額から純額に変更しているため、2400億円余りの減収要因となっている。
24年2月期の連結業績は、営業収益が前期比3.6%増の4766億円、営業利益が7.9%減の310億円、純利益は17.6%減の191億円と増収減益を見込む。