総務省が3日発表した2月の東京都区部消費者物価指数(中旬速報値、2020年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103.7と、前年同月比3.3%上昇した。上昇は18カ月連続だが、伸び率は政府の電気・ガス料金の負担軽減策の効果により1月(4.3%)を下回り、13カ月ぶりに鈍化した。
ただ、今後も食料品を中心とした値上げが予定されているほか、原油価格の上昇や円安進行の可能性も指摘される。物価高に家計が圧迫される状況は続きそうだ。
東京都区部の指数は24日に公表される2月の全国消費者物価指数の先行指標。全国の物価も伸び率が縮小する公算が大きい。
エネルギーは全体で5.3%上昇。電気代は1.7%低下し、1年7カ月ぶりにマイナスに転じた。都市ガス代は20.4%伸びたが、上昇幅が1月(39.7%)よりも大幅に縮小した。
政府が1月使用分から実施している負担軽減策の物価押し下げ効果は、電気代で0.67ポイント、都市ガス代で0.31ポイント。SMBC日興証券は「ガソリン・灯油への補助金も合わせると、1.5ポイント程度のマイナスに寄与しているとみられる」と指摘する。
一方、生鮮食品を除く食料は7.8%上昇と高止まりが続く。調査対象のうち9割が値上がりしており、外食のハンバーガーや食用油、調理パンなどの伸びが目立つ。
帝国データバンクによると、今年の食品値上げは4月までに累計1万5000品目を突破し、8月にも2万品目を超える可能性がある。電力大手各社の値上げ申請も相次いでおり、物価高の先行きは予断を許さない。
原油など国際商品市況も、中国の経済活動再開に伴う需要増を背景に上昇が見込まれる。一時は1ドル=127円台まで円高方向に戻したドル円相場も、足元では136円台と再び円安が進行。市場では物価上昇率が来年夏ごろまで2%前後で推移するとの見方も出ている。
政府・与党は追加の物価高対策を検討し、3月中に取りまとめる方針だ。