成長率、目標達成に程遠く=発表延期で信頼も失墜―中国
【北京時事】今年7~9月期の中国の経済成長率は3.9%にとどまった。市場予想(ロイター通信調べ)の3.4%は上回ったものの、政府が今年の目標に掲げる「5.5%前後」の達成には程遠い水準だ。一方、当初18日の発表予定が前日夕方に突如延期が公表されるなど、政府統計に対する信頼も大きく失墜した。
「経済より国内政治を優先した結果ではないのか」。第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは今回の混乱をこう分析した。市場では、5年に1度開催される重要行事の共産党大会の期間中に数値を公表することをためらったとの見方が根強い。国家統計局は取材に対し、公表遅れの理由について「回答できない」とのみ答えた。
中国では、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑える「ゼロコロナ」政策の下、各地でロックダウン(都市封鎖)や行動規制などの措置が取られており、サプライチェーン(供給網)や生産の混乱が長期化。景気の低迷が続き、消費者心理も冷え込む。9月の小売売上高は前年同月比2.5%増に鈍化した。
一方、9月の鉱工業生産は6.3%増に加速。ただ、同月には自動車関連産業が集積する四川省成都市が封鎖されている。金融関係者は中国の統計に関し「景気の全体的な方向性を知ることはできるが、個々の数値がどこまで正しいのかはよく分からない」と話す。
党大会では習近平総書記(国家主席)がゼロコロナについて「感染症の抑制と経済・社会の発展の両立で重要な成果を収めた」と胸を張った。ゼロコロナは当面続く見通しで、景気低迷の長期化は不可避。国際通貨基金(IMF)や世界銀行は今年の中国の成長率を3%前後に下方修正している。