アジア成長、ロシア侵攻で下振れも=今年5.2%予想―ADB
【マニラ時事】アジア開発銀行(ADB)は6日、2022年のアジア太平洋46カ国・地域(日本など除く)の成長率を5.2%と予想した。堅調な内需の回復が成長を支える一方、ロシアによるウクライナ侵攻や米国の利上げ、新型コロナウイルスが下振れリスクになると懸念した。
ADBは、新型コロナのワクチン接種が進んだ上、オミクロン株の重症化リスクが比較的低いとされることから、「従来の感染の波に比べ、経済が開かれた状態を維持している」と指摘。地域によって差はあるものの、成長率はコロナ前の傾向に近づきつつあると分析した。
一方、「ロシアのウクライナ侵攻が商品価格の高騰や金融不安を招く他、米国の積極的な金融引き締めにより急な資本流出や通貨下落が起き得る」と警戒。新型コロナも脅威として残り、重症化リスクの高い変異株が出現する可能性に触れた。
国・地域別の成長率は、感染者が急増している中国を5.0%とし、「中国での感染拡大は地域全体の成長やサプライチェーン(供給網)を脅かしかねない」と指摘。インドは7.5%を予測した。
東南アジアは4.9%を見込んだが、国軍がクーデターで実権を掌握したミャンマーは21年に続くマイナス成長を予想した。
◇ADBのアジア成長率予想
21年 22年
アジア太平洋 6.9 5.2
中国 8.1 5.0
香港 6.4 2.0
韓国 4.0 3.0
インド 8.9 7.5
東南アジア 2.9 4.9
インドネシア 3.7 5.0
マレーシア 3.1 6.0
シンガポール 7.6 4.3
タイ 1.6 3.0
フィリピン 5.6 6.0
ベトナム 2.6 6.5
ミャンマー ▲18.4 ▲0.3
(注)実質GDP伸び率、単位は前年比%、▲はマイナス