「デジタル化と小売業の未来」#6 ECの配送拠点に! リアル店舗の「倉庫化」を背景に激しさを増す“配送時間短縮合戦”
30分以内に商品を届けるプレーヤーも
アメリカでは、リアル店舗が倉庫化された「倉庫型店舗」を拠点とする事業者のほうがアマゾンの配達より早い時代に突入しており、圧倒的シェアを誇るアマゾンといえど、配達日数に関しては優位性を失っています。さらに、さまざまなプレーヤーが参入していることから、「アマゾン一強」の状態は脅かされつつあります。
たとえば、アメリカで2013年に創業された日用品デリバリーのスタートアップ企業ゴーパフ(goPuff)は、CVSなどで取り扱われている日用品を2ドルで30分以内に配達できることを強みに急成長しています。アマゾンでも2.5日かかっていることを考慮すると、このスピードはかなりの脅威です。アメリカでは、ゴーパフのようにより早く届けることに主眼を置いたプレーヤーがますます増えています。
倉庫化された店舗と配送専門のギグワーカーがともに増加すれば、小商圏で独自に物を届ける体制を構築することが可能となります。日用品や生鮮食品など、購入頻度が高い商品についてはアマゾンより利便性が高い新たなプレーヤーが消費者に選ばれることもあるでしょう。ECの“配送時間短縮合戦“は世界的に激しさを増しており、そのなかで倉庫化されたリアル店舗は重要な役割を担っています。
プロフィール
望月智之(もちづき・ともゆき)
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1 部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。
ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
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