「デジタル化と小売業の未来」#5 “EC大国”の中国でリアル店舗の出店ブームが起こる理由
日本も再びリアル店舗の時代に?
前述した経済産業省の電子商取引に関する市場調査によると、令和元年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、19.4兆円(前年18.0兆円、対前年比7.65%増)と中国には及ばないものの大きく拡大しています。今後中国のようにウェブでの顧客獲得が激しさを増すようになれば、日本でもいずれは店舗閉鎖の波が引き、再び実店舗の時代が来るでしょう。
ただし、大型スーパーや大型量販店のように、数万点単位の商品を並べて選べるようにするという従来型の店舗はその価値をどんどん失います。商品数では、Amazonなど大型量販ECに圧倒的優位性があります。これからは、ネットで見つけて興味を持ったり、ほしいと思ったりした人が来店して商品を触ることを前提とした店舗づくりが必要です。
世界では、ナイキやアップルなどがすでにこういった体験型の店舗を開発しており、なかには販売を一切行わず、体験するためだけの店舗も出始めています。日本でも資生堂やオルビスなどがデジタルをうまく活用した体験型の店舗を拡大しており、こうした動きはまだまだ広がるとみられています。さまざまな事例をキャッチして、出遅れないようにしっかりチェックしておきましょう。
プロフィール
望月智之(もちづき・ともゆき)
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1 部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。
ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
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