「Green Beans」を興すイオンのデジタル戦略に見る、ビッグリテールのDX未来予想図
先日、イオン(千葉県)グループのイオンネクストが2023年夏に次世代ネットスーパー事業の「Green Beans(グリーンビーンズ)」を立ち上げると発表しました。イオンの2022年2月期のデジタル売上高は1300億円を記録し、同社の中期経営計画ではこれを2025年までに約7.7倍の1兆円まで拡大する計画だそうです。イオンにとって2023年は、2026年2月期をみすえた中期経営計画のちょうど折り返し地点となり、勝負の年になるでしょう。今回は、イオンがデジタルによる売上を拡大させるためにこれまで採ってきた戦略を振り返り、ビッグリテールのデジタル・トランスフォーメーション(DX)に必要な企業間コラボレーションや新たなアセットの開拓について紐解いてみましょう。
2026年2月期までにデジタル売上1兆円へ
イオンは2026年2月期までの中期経営計画で、ECやネットスーパーなどデジタルによる売上高を1兆円まで伸ばすと掲げました。実際のデジタル売上高は、2022年2月期で1300億円(連結業績)。2020年2月期から比べると、2年で約2倍に急成長し、4月に控えた2023年2月期の決算発表ではこの1年でどれだけの伸びを記録したのか注目が集まっています。
5年でデジタルによる売上を5倍以上に拡大するには、あらゆる打ち手を講じなければなりません。そこでイオンはECやネットスーパー、オムニチャネル、顧客データ解析など、全方位的なデジタル施策を展開することを宣言しています。
たとえば、「店舗のデジタル化」。スマートフォンを活用したセルフレジ「レジゴー」の平均利用率を20%まで拡大することをめざし、労働生産性を高めるとしています。ほかにも、アプリを通じたパーソナライズド販促や、顧客データを活用した広告収入の拡大など、データやAIを活用して既存オペレーションの収益化をねらうそうです。
既存のアセットを最大限活用しながら、未開の領域に果敢にチャレンジしてケイパビリティを拡大する姿勢は、ビッグリテールDXにおけるお手本といえるのではないでしょうか。
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