「デジタル化と小売業の未来」#7 「広告メディア」としてのウォルマートの戦略
リアル店舗を購買行動データ収集の場として活用
従来小売業は、薄利多売の商売と言われていました。しかし、小売事業を展開するなかで収集できる膨大な購買行動データを生かした広告ビジネスは、利益率が高く今後も伸びる可能性があります。
実際、アマゾンや楽天グループ(東京都/三木谷浩史会長兼社長)も広告事業が利益に大きく貢献しています。そのほか、日本で利用者の多い大型量販店であれば、小売事業だけでなく広告ビジネスを成長させることもできるでしょう。
消費者の購買行動データを多く保有できれば、それだけ精度の高いマーケティングも可能となります。自前で広告ビジネスを展開するには多額のコストもかかるというデメリットもありますが、アメリカでは広告ビジネスだけを専門で請け負うスタートアップも台頭しつつあります。
ECが普及するにつれて、リアル店舗の価値は見直されつつあります。過去の連載では、体験型店舗やECの配送拠点としての活用などを紹介してきましたが、それに加え、広告事業を展開するうえで必要な消費者の購買行動データを収集する場としても、リアル店舗は重要な役割を担っているのです。
プロフィール
望月智之(もちづき・ともゆき)
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1 部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。
ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
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