東急が事業化、アパレルバイヤー向け卸売ECの未来像とは
3年後は2か国を加えて300ブランドに
会員登録は無料。商品輸入の輸入申告や税関審査といった煩雑な手続きは「makepre」が代行する。かかるコストは商品代金、物流費、関税・消費税と明確だ。荒川氏は「現状では与信管理の都合などで個人事業主は対象にしていないが、将来的には個人の方にもサービス提供の幅を広げて、海外ファッションブランドの窓口といえば『makepre』と言われるような存在になっていきたい」と意気込む。
会員登録したバイヤー向けには年2回の商品展示会を開催。2023年10月25日と26日に開催された展示会では「韓国ブランドをベンチマークしている企業がかなり増えていて、数多くのブランドを一度に見られると喜んでいただけた」と荒川氏。次の展示会は2024年3月13日と14日に渋谷での開催を予定している。
一方、韓国ブランド側にも海外での展開を視野に入れているところが多く、荒川氏は「日本のマーケットと接点が持てる良い機会で、日本のバイヤーに商品の説明を直接できたことは大きな収穫だという声が多く聞かれた」と振り返る。
「makepre」で人気が出れば、東急グループの商業施設に誘致して店舗を構えることも見据えているというから、ブランド側にはさらに大きなビジネスチャンスとなるメリットも見込めそうだ。
商業施設におけるアパレルの販売比率は低下傾向といわれるものの、ショッピングのシーンではまだまだファッション関連がメインといえる。「私自身、ファッションが好きだし、心の豊かさを与えてくれるものだと感じているので、もっとファッション産業を盛り上げたいという気持ちがある。気になるブランドの仕入れが便利になり、ユニークな商品の取り扱いが増えていくことで、売上増や業界の底上げにつながることを期待している」
今後の目標としては、「当面は韓国を中心に考えているが、3年後は2ヵ国を加えて、300ブランドくらいを集めたい」と話す。欧米も視野に入れてはいるものの、特にASEAN諸国に勢いを感じており、タイ、ベトナムなどのブランドに注目しているそうだ。東急グループのリテール部門やテナントに限らず、ファッション業界全体の仕入れのハブ的な立ち位置を担うことになるかもしれない「makepre」。大きなうねりを生み出しそうな、意欲的なチャレンジといえるだろう。今後の動向を注視していきたい。