次は介護業界?バニッシュ・スタンダードのオンライン接客支援がコスメや家電業界で広がる事情
スタッフスタートを基盤に新たな事業開発も
バニッシュ・スタンダードは2011年3月に設立。当初はアパレル企業のECサイトの制作から開発、運用、プロモーション、配送、商品撮影、採寸、原稿制作まで全業務を請け負うフルフィルメント事業を手掛けていた。あるときアパレルの店長から「ECサイトは店からお客さまを奪い売上は下がるし、店舗の人員も減らされ、業務が増えるのに給料は上がらない」と言われたことをきっかけに、販売スタッフのEX(従業員満足体験)を高めるスタッフスタートを開発し、2016年9月にリリースした。
当初は見向きもされなかったが、画像投稿が簡単にできる利便性だけでなく、導入企業で同アプリ経由の売上が上がり、スタッフの評価ができるメリットが認知され、2018年から急速に普及。多くのアパレル企業が導入した。
2016年当時は数億円の負債を抱え、経営危機に陥っていたが、2018年から業績は急回復。2022年3月期の売上高は前期比約50%増になったという。
今年7月にはファッション通販サイト「楽天ファッション」でコーディネート投稿機能の連携を開始。イオンモールの一部では店舗スタッフによるコーディネート提案を館内のデジタルサイネージで配信する取り組みも始めている。
今後の成長戦略を考える上では、スタッフスタートに頼った「一本足打法」ではなく新規事業の開発も必要とも考えられるが、小野里社長は「半分考えていて、半分考えていない」と話す。「スタッフスタートは多くの業界で活用できる。コーディネートを取り扱っているわけではなく、人にフォーカスしたサービスなので、例えばリクルート事業もやろうと思えばできるし、スタッフと一緒にBtoC(消費者向け取引)事業もできる。スタッフスタートというプラットフォームの上でさまざまな展開ができると考えている」として、スタッフスタートを基盤にしながら、他業界への参入やその仕組みを生かした事業開発を進めることで成長するという青写真を描いているようだ。