カインズ、本社敷地内に建てた「戸建て住宅」がSPAをさらに推進する理由とは

2021/09/23 05:55
    阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
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    ホームセンター(HC)大手のカインズ(埼玉県/高家正行社長)は9月、ハウスメーカー兼総合不動産事業を行うケイアイスター不動産の施工により、本庄早稲田の本社敷地内に「ハウススタジオ」を3棟建設した。

    見た目は戸建て住宅であり、趣味のDIYガレージ。カインズのSPA(製造小売)化を強く推進する役割を果たすとはどういうことか。

    カインズのハウススタジオ(A棟)
    カインズのハウススタジオ(A棟)

    LDKから直接バスタブが見える住宅?

    2階建ての建物。吹き抜けの玄関スペースがあり、室内に入ると充分な広さのLDKスペースが広がる。その斜め奥にはバスタブが見える。

    え、バスタブ?

    よく見れば、バスタブとキッチンの間には仕切りがないのである……

    ハウススタジオA棟のLDKスペース
    ハウススタジオA棟のLDKスペース

    そう。ここは、単なる戸建て住宅ではなく、カインズが商品パッケージや販促素材の撮影で使うために建てた、自社「ハウススタジオ」である。

    毎年、春夏と秋冬のシーズンごとにプライベートブランド(PB)を新商品を発売するカインズ。ナショナルブランド(NB)商品と違って、商品パッケージも店内用のPOPも、そして販促用の素材もすべて自社で制作する必要がある。むしろ、自社で制作するからこそ、毎シーズンのテーマに沿って、臨機応変にコーディネートされた空間を提案することができるのだ。

    しかし、そのコーディネートされた空間を撮影するには、時に広いスペースも不可欠だし、さまざまなイメージの背景や部屋を用意する必要がある。これまでは毎回商品をトラックやバンなどに詰めて、東京都新を含め、その時々の用途にあったスタジオをレンタルし撮影に赴いていた。スタジオに搬入後、商品イメージにあった撮影をしてはセットを変え、撮影、最後には現状復帰をして1回の撮影が終了。時間が膨大にかかるため、前泊や後泊が頻繁にあったという。

    さらにホームセンターの商品は、重く大型の商品もあり、車に乗り切らないケースもあるし、例えばクッションなどを例にすれば撮影当日まで全ての色柄が揃わないこともある。その度ごとに、別の方法や別の機会を得て撮影し直さなければならない。つまり、撮影以外に膨大な時間がかかっていたのだ。

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    記事執筆者

    阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

    マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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