減塩商品の市場が拡大中、コロナ禍の減塩食卓トレンドと売場提案のヒント

塩分の過剰摂取がさまざまな健康リスクを高めることがわかっているなかで、食品業界において減塩商品の市場が拡大している。食MAPデータによると、2021年度における減塩商品※の1日1000世帯あたりの食卓出現回数は、2016年度比108%と伸長している。そこで、今回は「食塩摂取」にスポットをあて食卓傾向を探っていく※商品名に「減塩」が含まれる商品
各属性で食塩摂取量は過多
食MAPバーチャル栄養素により、2020年4月~21年3月における家族属性別の食塩相当量gを推計すると、各家族属性で食塩の摂取が過多であることがわかる。性別で見ると、男性の食塩相当量gは食事摂取基準比210%となり、女性の166%と比べても大きい結果となった。とくに、男性60代は食塩相当量gが多いと同時に家庭内でのアルコール飲用回数が多いことも食MAPデータからわかっており、「おつまみの減塩化」などがポイントとなりそうだ。【図表①】

※食MAPバーチャル栄養素:食MAPの各メニュー分類に対して各種栄養素の値を付与したデータベース
※外食相当分は、家庭内食データを元にウェイトバックし栄養摂取量を算出 ※0~2歳のメンバは対象外
減塩メンバが活用している調味料とは?
食塩摂取が過多傾向のなかで、食塩摂取量が少ないメンバの食卓には何が登場しているのだろうか。食MAPバーチャル栄養素による食塩相当量gが食事摂取基準値(2020年版)に満たない個人メンバを「減塩メンバ」と定義づけたうえで、材料とメニューの食卓出現傾向を見ていきたい。【図表②】は、材料(調味料)とメニュー(おかず類)のTI値を減塩メンバとメンバ全体で比較したものだ。減塩メンバは、材料の出現総数自体が飲食者全体と比べ少ないなかで、おろししょうが・にんにく、スパイス・ハーブ類、トマトケチャップ・トマトソース類、中華調味料などの出現頻度が高いことがわかる。

※0~2歳のメンバは対象外 ※全体差分ソート
一方で、砂糖、食塩、醤油、味噌などのいわゆる「さしすせそ」の基礎調味料は出現頻度が低いことも食MAPデータからわかっている。減塩メンバは、単純に基礎調味料の使用頻度が低いだけではなく、スパイス類やしょうが・にんにくといった香味野菜を使うことで味にメリハリをつけたり、トマト系調味料など活用することで上手に旨味を整えていることが推測できる。また、メニュー傾向を見ると、材料傾向と同様にメニュー出現総数が飲食者全体に比べ少ないなかで、オムレツや刺身、ステーキ・ソテーなど調理工程が少なく素材の味を楽しむメニューの出現頻度が高いことがわかる。一方で野菜の煮物、漬物類などの出現が低いこともわかっている。
前述の傾向から、減塩提案におけるアプローチには「減塩商品の展開」とあわせて、スパイス類や香味野菜など風味豊かな調味料を活用した「レシピ提案」が効果的と言えそうだ。




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