小型店で都市部のプロ市場を深耕「コーナンPRO天神川高辻通店」

森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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コーナン商事(大阪府/疋田直太郎社長)は、プロ市場の開拓に力を入れている。近年は小型化を進めて都市部に進出すると同時に、品揃え、売場づくりを工夫、利便性、目的来店性の高いフォーマットを追求する。2020年11月に出店した「コーナンPRO天神川高辻通店」でも新たな取り組みが見られた。

コーナンPRO天神川高辻店外観
コーナンPRO天神川高辻店外観

店舗概要

オープン日:2020年11月20日
所在地:〒615-0057 京都府京都市右京区西院東貝川町78
電話番号:075-322-5700
アクセス:阪急電鉄京都本線「西京極」駅から徒歩10分
売場面積:300坪
営業時間:月~土・祝 6:30~20:00/日 9:00~20:00

21年2月期は15店を出店

 コーナンがプロ事業に参入したのは2001年1月。従来、プロ向けの資材や工具などは木材店、金物店、養生資材店といったようにカテゴリーごとにある専門店が取り扱ってきた。これに対し、ホームセンター(HC)事業を通じて培ってきたノウハウを生かし、それらの商品を1店で買える業態をめざし、開業したのが「コーナンPRO東淀川菅原店」(大阪府大阪市)だった。

 HCのようにチラシで集客する業態ではないため、当初は売上高が伸びず苦戦した。しかし小規模の工務店や一人親方、多能工職人といったプロの業者の間で、ワンストップショッピングできる使い勝手のよさが口コミでじわりと広がり、利用客が増えていった。これに伴って業績も伸長、繁盛店に育った。今も同店は連日、多くの利用客でにぎわいを見せる。

 同社のプロショップが強い支持を得るのは、単に商品が揃っているからではない。日々の接客を通じて得た要望や意見を売場へ反映させてきた、ユーザー目線の機動的な店づくりにある。利用者にとっては、いわばかゆいところに手が届く品揃え、サービスを提供する店舗がコーナンのプロショップであるといえる。

 プロ事業は、同社にとりHCに次ぐ主力事業に成長している。売上高は15年2月期時点の316億7100万円から伸び続けており、21年2月期はコロナ禍も影響し、前期と比較し大幅増で着地する見込みだ。

 コーナンではプロ市場の開拓余地はまだ大きいとみて、積極的な出店を続けている。18年2月期はプロショップを6店、19年2月期11店、20年2月期6店と毎年、HCとほぼ同数の新店を出してきた。さらに21年2月期については、15店とこれまでで最も多い新店を投じている。

 その中現在、力を入れているのが店舗の小型化である。ドミナントエリア強化とともに、都市部での出店も進め、プロにとってさらに利便性の高い店舗網の構築をめざしている。PRO営業部の多根井康之部長は「出店スピードを上げるには店をコンパクトにする必要がある。同時に品揃えに磨きをかけながら、お客さまにより満足いただけるプロショップを追求したい」と話す。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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