暗闇フィットネス®︎をブレークさせたFEELCYCLEのアパレルがコロナ禍でも絶好調の理由

油浅 健一
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苦難のアパレル業界にあって、コロナ禍でも快調なアパレルブランドがある。FEEL CONNECTION(東京都)が展開するFEELCYCLEだ。暗闇フィットネス®︎をブレークさせたことで知られる同社の母体はフィットネス業態。アパレル企業の多くが需要減などで厳しい状況にあえいでいるだけにその躍動ぶりは際立つ。同社のアパレルはなぜ、会員に支持され続けるのか。同社代表の橋本英治氏とApparel & Goods事業部長の真木賢太郎氏に聞いた。

全国に41店舗、インストラクター約300名が在籍するFEELCYCLEのアパレルとは
全国に41店舗、インストラクター約300名が在籍するFEELCYCLEのアパレルとは

「売れるもの」はつくらない!?

 暗闇の中で音楽に合わせてバイクエクササイズを行う『フィールサイクル』*は、わずか45分のレッスンで大量のカロリーを消費し、効率的に、そしてファッショナブルに心身のデトックスができるエクササイズとして2012年の1号店オープンから、会員を増やし続けている。アパレル部門が立ち上がったのは、その1号店オープンから半年後だ。
*本稿ではアパレル「FEELCYCLE」と同名のフィットネス事業をカタカナで表記

Feel Connection代表の橋本英治氏
FEEL CONNECTION代表の橋本英治氏

 その目的について橋本代表はこう説明する。「当社の理念は『関わる全ての人を輝かせよう』。母体はフィットネスですが、より人を輝かせる業態、サービスに広げていきたいというのが前提としてある」。つまり、同社にとってアパレルはサブ的位置づけでなく、会員のライフスタイル向上を包括的にサポートする上で不可欠な部門ということだ。

 アパレル部門を統括する真木氏の言葉に、このスタンスの真意が凝縮されている。「僕たちは売れるものはつくりません。つくるのはお客さんが喜んでくれるものだけ。スタジオに通うことでどんどんきれいになる人たちに合わせ、輝きを放ってもらえる洋服となると、『本物を提供する』ということに尽きます」。

 その言葉通り、同社の洋服づくりは職人レベルのこだわりに満ちている。肌ざわり、縫製、デザインはもちろん、「隣同士になった会員が同じデザインのウエアを着ていたらいやな思いをする」(真木氏)として、新作を出すサイクルをわずか2週間にするなど、身に着ける会員の満足感・心地よさに徹底フォーカス。採算は二の次、三の次だ。縫製のクオリティを保ちたいと国内での製造にこだわり、工場はアイテムごとに選定。生地もラグジュアリーブランドと同等のものを使用している。その結果、一般的なスポーツウエアとしては決して安くない価格設定となるが、それでも購入者の負担を最小限にするために粗利益率を圧縮して提供している。

 なお、価格はTシャツで8800円(税込み、以下同)から、レギンスで9350円、タンクトップだと8250円からだ。

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