鮮魚の匠が教える売上・利益アップの方法 まだまだ省けるムダ、売上伸ばせるサービス、見栄えのやり方
新型コロナウイルス(コロナ)禍での内食需要の高まりにより、鮮魚部門の売上は安定している。しかし、そこに慢心していてはさらなる成長は見込めない。鮮度管理、商品づくり、提案手法などあらゆる側面で基本に立ち返りつつ、顧客のニーズを深く理解し、「地域一番の鮮魚店」をどうつくっていくかを部門全体で考える時期に来ている。
プロの提言!
▶コロナ禍で伸びた「冷凍商材」を深掘りしよう
▶調理サービスは“プロの技”を見せつける場
▶“職人気質”を捨て、消費者のニーズを理解し、提案を行う
内食需要で売上は伸長
冷凍商材が大きな売れ筋に
2020年1月から11月までの東京都の3市場(豊洲、足立、大田)における魚介類の取り扱い数量と金額の年間平均は、前年同期の指数を100としたとき、数量が96.3%、金額は89.6%であった。
一方、スーパーマーケット(SM)販売統計調査(SM3団体発表)によると、20年の水産部門の年間売上実績は、既存店ベースで対前年比105.5%、最新の12月では同104.6%(速報値)という結果だった。
卸売市場の落ち込みは明らかに、コロナ禍での外食自粛による飲食店の休業や仕入れ減が要因である。他方、SMの鮮魚部門は「内食・家飲み需要」「買い置き需要」などを取り込み“特需”に沸いた。今後も内食需要はしばらく続くと予測されるが、コロナ禍前後の販売実績を比較分析したうえで、商品構成を再考すべき時期に来ているともいえる。
その一例として、コロナ禍でとくに大きな成長を示したのが、加熱するだけでよい冷凍の半調理品や炊き込みご飯の素、エビフライなど衣付き魚介類などだ。調理の手軽さや保存性の高さから、今後も鮮魚部門において冷凍商品の成長は安定的に続くとみられ、各社で「フレッシュフローズン」の分野をどう深掘りし、新たな商品企画・開発を行っていくかがカギとなるだろう。
まだまだ「ムラ」「ムダ」が多いSMの鮮魚部門
さて筆者は、「鮮魚の無限の価値を創造しよう」と常々提言している。売り手だけの都合ではなく、消費者、あるいは生産者の立場に立って知恵を絞り出せば、まだまだユニークな商品開発は可能だ。
では実際に、SMの鮮魚部門として何ができるだろうか。それを探る前に確認しておきたいのが、今日の鮮魚部門が抱える課題だ。なかでも筆者が強く指摘しておきたいのは、
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