街角景気、9月は大幅上昇 飲食・宿泊中心に家計部門が50超え
[東京 8日 ロイター] – 内閣府が8日に発表した9月の景気ウオッチャー調査は、景気の現状判断DIが49.3となり、前月から5.4ポイント上昇した。今年4月を底に5カ月連続の上昇となった。企業動向関連、雇用関連、家計動向関連が全て上昇。中でも家計関連は2017年12月以降初めて景気分岐点の50を超え、急速な回復を見せている。
家計関連の回復は、主に宿泊や飲食など感染拡大の第2波の影響を受けていた業種がここにきてようやく回復感が出てきたことなどが背景。
「8月ほどではないが、宿泊稼働も50%近くまで回復してきている。特に9月の4連休はほぼ満室の状況が続き、久しぶりに忙しかった。3カ月前と比べると、GoToトラベルキャンペーンの影響で販売量が大幅に伸びている」(南関東=都市型ホテル)といった声がある。ただ、小売り関連では「高齢者は相変わらず外出を控える傾向にあり、消費が力強いとはいえない」(四国=商店街)など、地域により回復に差があることもうかがえる。
企業では、「5─6月は出荷量が非常に落ち込んだが、9月は前年比で若干のマイナスにまで回復してきた。特に、車載関連が回復している」(近畿=化学工業)など需要の回復傾向が出ているが、「新型コロナウイルス対策関連の経費等が増加しており、収益面、資金繰り面では厳しい状態が続いている」(中国=金融業)と、収益面では苦しい状況もみえる。
雇用状況は、依然としてサービス業では回復が鈍い。「全産業で求人数は、新型コロナウイルスの影響により前年同月より大きく減少している。特に、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業での減少が大きい」(北陸=職業安定所)といった声が出ている。
西村康稔経済再生担当相は今回の結果について、現状DIの水準は「コロナの感染が拡大する前や、増税前に戻った」と指摘。足元の景況感は非常に良好との認識を示した。
2─3カ月先を見る先行き判断DIは48.3で、前月差5.9ポイント上昇。2カ月連続の上昇となった。
「GoToトラベルキャンペーンの東京参加解禁による効果が大いに期待される」(九州=観光型ホテル)との声があがるほか、「少しずつであるが輸出、輸入関連貨物で回復の兆しがみえる。国内貨物においても、新型コロナで延期になっていた業務が動き始めている」(東北=輸送業)と、緩やかながらも需要の増加傾向に期待感が出てきた。
内閣府は、景気ウオッチャー調査の判断の表現を「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさは残るものの、持ち直している」とした。先月は「新型コロナ感染症の影響による厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる」だった。