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マーチャンダイザーとは? マーチャンダイザーが担う役割を実例とともに解説!

読み方:まーちゃんだいざー
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マーチャンダイザーとは、商品の開発から販売戦略まで一貫して責任・権限を持つポジションを意味する。「ブランドマネージャー」と同義で扱われるケースも多い。商品の開発に携わるバイヤーに比べ、職掌の範囲は幅広い。

マーチャンダイザーのイメージ
マーチャンダイザーとは、商品の開発から販売戦略まで一貫して責任・権限を持つポジションを意味する。(i-stock/metamorworks)

マーチャンダイザーの使命は、3P(Product=商品、Price=価格、Place=場所)の決定にある。顧客・自社・競合といった社内外環境の分析に基づき、顧客ニーズに見合った商品(Product)を、ターゲットにマッチした価格(Price)で、かつ、顧客接点としてふさわしい場所(Place)で販売し、最大の成果を達成する。

具体的には、以下のプロセス全般をマーチャンダイザーが統括する。個別には研究・購買・生産・営業・物流・マーケティングといった各部門が業務プロセスを推進し、マーチャンダイザーは部門横断的にコーディネートする役割となる。

  • ブランド戦略立案

市場調査やマーケティング分析に基づきターゲットを設定、発信するメッセージやストーリー、カスタマーリレーションとの構築に関して方向性を打ち出す

  • 商品計画立案・推進

現行品の改廃計画、新製品の年間発売計画(アイテム・価格・販売数量・チャネル等)

  • 新商品開発提案・推進

素材・パッケージ・機能などの商品仕様決定、量産化にむけた進捗管理(仕様設計・量産化テスト・行政許可等)

  • 商品需給動向の管理

営業部門による需要動向予測(チャネルヒアリング等)、生産計画・調達計画との調整

成功したときばかりではなく、マーチャンダイジングが失敗したときの対応もマーチャンダイザーの役割だ。余剰在庫の返品・償却、商品のフェースカットスケジューリング・得意先チャネルとの撤収調整などをマーチャンダイザーがコーディネートするケースも多い。

マーチャンダイザーのメリット

マーチャンダイザーを導入するメリットは、マーチャンダイジングの一貫性にある。

企業の中にはマーチャンダイザーを置かず、マーチャンダイジングの業務プロセスを個別部門に委ねているところも多い。こうした企業ではマーチャンダイジングが個別部門の思いや考えに影響されることもある。

たとえば営業部門から「売上が芳しくないので、見た目を変えた(リパッケージした)新製品を出してほしい」といったようなケースだ。広告や販促活動も、売上に直結するような即効性の高いものばかりが優先され、中長期的な売上を左右するマーケティング投資の思想が根づかない。

一方でマーチャンダイザーのもとでは、商品やブランドの持続的な育成が実現しやすい環境にある。

マーチャンダイザーのデメリット

マーチャンダイザーのデメリットは、非効率性にある。研究・購買・生産・営業・物流・マーケティングといった機能別組織は「たこつぼ」「部分最適」などと批判されることもあるが、各部門は専門性が高く効率的で、業務もスピーディーに進む。マーチャンダイザーは、そうした機能別組織に商品軸で横串をさすことになり、部門間の調整に手間や時間がかかる。たとえば販売計画を組むとき、店舗別販売計画の全社合計と商品別販売計画の全社合計は必ずといっていいほど一致しない。そのすり合わせには相当骨が折れる。

マーチャンダイザーの実例

マーチャンダイザーの実例として、日用品のグローバル企業P&G(The Procter & Gamble Company)社について取り上げる。同社の年間売上高は10兆円を超え、展開エリアは180カ国にのぼる。その強さを支えるのが、高いブランド力だ。同社が持つブランドのうち、じつに65がリーディングブランド(カテゴリートップ3以内)とされている。

同社はブランド単位ですべての業務を運営しており、組織もブランドごとに構成されている。そしてブランド軸で売上・利益・顧客数(新規・既存)・顧客単価といった評価指標を追求していく。

P&G出身のマーチャンダイザーはさまざまな業界で活躍しており、「P&Gマフィア」と呼ばれることもある。P&Gのマーチャンダイジング力が高く評価されている証明だろう。

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