イトーヨーカ堂「ファウンドグッド」の成否 GMSの衣料売場はアパレルの草刈場になるのか?
衣料品の直営から撤退するイトーヨーカ堂がカジュアル衣料売場の商品供給をアダストリアに丸ごと任せて、量販店業界と衣料品業界に激震が走ったが、他の量販店、総合スーパー(GMS)もアパレルブランドのコンセ(コンセッショナリーの略、売上歩合のインショップ)やアパレルメーカー/アパレルチェーンと組んだショップを拡大して直営売場をどんどん圧縮している。GMSの衣料品はアパレルメーカーやアパレルチェーンの草刈場となって直営の衣料品売場は無くなってしまうのだろうか。小島ファッションマーケッティングの小島健輔代表が緊急解説する。
![イトーヨーカ道の「ファウンドグッド」売場](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2024/03/unnamed.jpg)
アダストリアの「ファウンドグッド」は
どこまでカバーできるのか
2023年3月に衣料品(下着や靴下などを除く外衣)の直営から撤退すると公表したイトーヨーカ堂が24年2月15日、大手アパレルチェーンのアダストリアが商品供給する子育て世代向けカジュアル衣料売場「ファウンドグッド」をイトーヨーカドー木場店(東京都江東区)と同立場店(横浜市泉区)で立ち上げた。
アダストリア(ビジネスプロデュース本部)が商品を企画・生産して供給するのみならずストアプランやVMDも主導し、イトーヨーカ堂スタッフに接客研修や商品説明も行い、アダストリアのスーパーバイザーが巡回してOJTも指導するというから、商品供給型フランチャイズ契約に近い。
モデル店舗となる木場店は200坪に迫るスケールの大型平場(壁やウィンドウで囲わないオープンな単品構成売場)で、6月にかけて100坪〜300坪の売場を64店舗に広げると発表している。
イトーヨーカドー衣料品の顧客は高齢化が進んでミセス/アダルト〜シニア層に偏っており、世代交代で若返る商圏顧客をイオン系商業施設などに取られてストア総体の売上も低下するという厳しい状況にあったから、30〜40代子育て世代の取り込みが喫緊の課題となっていた。
イトーヨーカドー衣料品は「カジュアル衣料売場」以外に「婦人服」(ミセス〜シニア向け)、「紳士服」(アダルト〜シニア向けとビジネス)、「フォーマル」「ランファン」「肌着」「服飾雑貨」、「子供服・服飾雑貨」「スクール用品・文房具」などから構成されるが、「フォーマル」「ランファン」はブランドメーカーのコンセで、「婦人服」「紳士服」内もブランドコンセが多くを占めている。
「肌着」「服飾雑貨」を残して直営から撤退すれば、「婦人服」「紳士服」「子供服」もブランドコンセだけで構成されるようになるが、ブランドコンセは直営平場より価格が嵩むからカバーできる客層は限られる。
既存顧客層は離反の可能性も
新規に取り込める層は…
「ファウンドグッド」は30〜40代子育て世代に向けた、今風に抜けて着回せる軽快で機能的なナチュラルモードカジュアル(「グローバルワーク」に近いが「レプシィム」的な要素もある)でまとまっている。ウィメンズ50%、メンズ25%、キッズ5%強、服飾雑貨と生活雑貨が20%弱という構成だからキッズは極めて手薄で、ミセス向けやアダルト向け、子供向けの手頃な衣料品平場を代替するわけではない。
大型ではあるがテイストがまとまったSPA(製造小売業)型の平場ショップであり、多様な世代やテイストをカバーするわけではないから、「衣料品平場を丸ごとお任せ」とはいかないのが現実だ。
競合するイオンリテールの「イオンスタイルストア」では、
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