現在の景況感5年ぶり低水準、物価「上がる」も低下=日銀

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都内の商店街の様子
1月9日、日銀が発表した12月の「生活意識に関するアンケート調査」によると、現在の景況感DIは5年ぶりの低水準となった。写真は都内で2016年1月撮影(2020年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 9日 ロイター] – 日銀が9日に発表した12月の「生活意識に関するアンケート調査」(第80回)によると、1年前と比べ景況感が「悪くなった」と答えた人が増えた結果、「良くなった」から「悪くなった」を引いた現在の景況感DIはマイナス29.8となり、2014年12月調査(マイナス32.9)以来5年ぶりの低水準となった。

ただ、先行き(1年後)の景況感DIは「悪くなる」が減少したため、9月調査のマイナス41.7からマイナス32.6に改善した。

アンケートは11月7日から12月3日にかけて全国の満20歳以上の個人4000人を対象に実施した。有効回答率は52.7%だった。

増税後の支出抑制は約33%

今回のアンケートでは、消費税増税後の支出動向についても聞いた。増税後に支出を「控えた」「やや控えた」と回答した人の割合は32.9%となり、前回増税時の約1年後に実施した調査(2015年3月)の59.8%を大きく下回った。増税後に支出を控えた商品・サービスは「外食」が57.8%でトップとなり、以下、「衣服・履物類」が51.5%、「日用品(洗剤・雑貨等)」が41.6%と続いた。

9月調査では支出を「控える」「やや控える」は68.0%にのぼっていたが、予想ほど消費行動を変えなかった様子がうかがえる。

「控えた」「やや控えた」人に増税がいつごろまで支出に影響を与えるか聞いたところ、「来春以降も影響は続く」が74.0%でトップだった。

1年後の物価「上がる」は低下

1年後の物価が「上がる」と予想する人は73.3%となり、9月調査の79.8%から低下した。数値予想は平均が3.8%上昇、中央値は2.5%上昇だった。中央値はこのところ3.0%上昇で推移していたが、2017年9月調査(2.0%上昇)以来の低い水準となった。

消費税増税に伴うポイント還元やセールなどが物価目線を引き下げた可能性がある。

5年後も「上がる」と予想する人が減少。9月調査の85.9%から82.8%に低下した。毎年の変化率予想は平均値が3.8%上昇、中央値が2.0%上昇だった。

日銀は2%の物価安定目標の実現には家計や企業のインフレ期待の高まりが重要と位置づけており、同アンケートは家計のインフレ期待の動向を把握する指標のひとつとなっている。

日本の成長力で慎重な見方増加

日本経済の成長力については、「より低い成長しか見込めない」との回答が増加した結果、「より高い成長が見込める」から「より低い成長しか見込めない」を引いた経済成長力DIはマイナス56.9と、2012年12月調査(マイナス61.7)以来7年ぶりの低い水準となった。

成長力見通しはこのところ低下傾向が続いており、政府が描く成長戦略が消費者に届いていない可能性がある。

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