米雇用、好調浮き彫り=議会混乱、金利上昇で不透明感も
【ワシントン時事】6日公表された9月の米雇用統計では、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比33万6000人増だった。伸びは市場予想のほぼ2倍で、雇用情勢の好調ぶりが改めて浮き彫りとなった。一方、議会混乱による政府閉鎖の恐れや市場金利の上昇など、経済を取り巻く環境は不透明感を増している。
「偶然ではない。『バイデノミクス』だ」。バイデン米大統領は6日の演説で、低所得層の底上げと中間層の拡大を目指した経済政策の成果を誇った。
足元では強さばかりが目立つ米景気だが、リスクは多い。2023会計年度末の9月30日、11月半ばまでのつなぎ予算が成立したが、予算案の議会通過で与党民主党と妥協したマッカーシー下院議長(野党共和党)が解任され、議会の混乱が続いている。
24年度予算審議の停滞は確実で、バイデン氏は現行のつなぎ予算の期限まで「あと40日間しかない」といら立ちをあらわにした。予算切れによる「政府機関閉鎖のリスクは高い」(調査会社)とみられる。
また、予想より強い米景気や労働市場を反映し、金利が急ピッチで上昇し、今後景気を圧迫する可能性も指摘されている。6日の市場では、10年物米国債利回りが一時4.89%と、16年ぶりの高水準となった。
過熱気味の労働市場は賃金上昇など根強いインフレ圧力をもたらしており、連邦準備制度理事会(FRB)が警戒を緩める状況にはない。前回9月の会合では「年内あと1回」の追加利上げシナリオが示された。
ただ、FRB内では最近の金利上昇で「金融環境の引き締まりが続くなら、追加利上げの必要はなくなる」(高官)との見方も浮上。利上げの是非を巡り、11月の次回会合で慎重に検討する見通しだ。