有力小売各社、SDGsの取り組み強める食品ロスを削減するサービスも登場

森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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小売業のSDGs

2015年9月の国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)。以来、その動きは世界的に広がっており、企業にとってはビジネスの一環として取り組むことがもはや常識となってきた。小売業界でも同様で、有力各社が独自の施策を工夫する一方、ユニークなサービスを行う企業も登場している。

すでに9割超の人がSDGsを認知

 電通は今年2月、第6回「SDGs に関する生活者調査」を実施した。対象は全国10〜70代の男女計1400人。SDGsの「認知率」について過去の調査結果と比較したほか、企業活動によるSDGsの取り組みのとらえられ方などを分析した。

 その結果、SDGsの認知率は9割超(91.6%)。「内容まで含めて知っている」と回答した人は40.4%と、第1回調査(2018年2月実施)から11倍以上に増加【図表】。9割弱(87. 3 %)が、SDGsに対しポジティブな印象を持っていることがわかった。

【図表】SDGsの認知率

 サステナビリティに関連する15のテーマで、認知度の高いものは「食品ロス」92. 6%、「ジェンダー平等」(90. 2 %)、「再生可能エネルギー」(90.1%)だった。

 さらに約8割(79.3%)の人が、SDGsに対して企業が積極的に取り組むと、よい印象が強くなる、好感度が上がるなどの影響があると答えた。

 企業にとり、ビジネスの一環としてSDGs に取り組むことが、もはや常識になってきているといえるだろう。

 そのなか、有力各社も独自の施策を実施している。

 イオンは今年6月、プライベートブランド(PB)「トップバリュ」をすべて、「環境配慮3R商品」に切り替えると発表した。

 「環境配慮3R商品」とは、Reduce(リデュース=削減化)、Reuse(リユース=再使用化)、Recycle(リサイクル=再資源化)のいずれか、または複数に対応して開発した商品を意味する。

 お客は、「環境配慮3Rマーク」がついたPBを買うことで、3R活動に参加できるほか、社会的課題の解決を考慮した消費活動を行うことができる、としている。

 また、セブン&アイ・ホールディングスは今年6月、環境月間に合わせて、環境配慮商品をグループ各店の売場や店頭ポスター等で積極的に訴求する方針を打ち出した。あらためて商品をアピールすることで、食品ロス低減はじめ、SDGs に積極的に取り組む方針を知ってもらうのがねらいのようだ。

顧客・地域・小売業の「三方よし」のプログラム

 今紹介したように、小売各社が独自の施策を工夫するなか、ユニークな取り組みやサービスを行う企業も登場している。高知県に本社を置き、WebマーケティングやEC制作・運用などの事業を手掛けているアッシェだ。

 同社は、05年9月に創業した比較的若い企業だが、19年2月から新たにスタートした食品ロス削減事業が大きな注目を集めている。SDGsの浸透を背景に、社会貢献できる分野として積極的に拡大している。

 農林水産省・環境省が公表している推計値(令和3年度分)によれば、日本で発生する食品ロスは、年間およそ523万トンに上るという。これに対し、同社では、食品ロス問題に大人から子供まで、みんなが楽しみながら考え、向き合うことができるコンテンツや情報を発信している。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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