コスト増直撃で24年ぶり最終減益のニトリHD、減収予想の今期の打ち手は
コロナ禍を経てウィズコロナの生活様式へ移行していく中、景気の持ち直しも期待される半面、社会経済環境は世界的なインフレ率の上昇やウクライナ危機、原材料費の高騰など大きなリスクにさらされている。そうした厳しい状況下、これまで連続の増収増益を達成してきたニトリホールディングスにも強い逆風が吹いている。本稿では、ニトリホールディングスの23年3月期業績を振り返りながら、今後の戦略について概観する。
変則決算でかろうじて増収・営業増益、最終利益は減益に
ニトリホールディングスの23年3月期業績は、売上高が対前期比16.8%増の9480億9400万円、営業利益が同1.3%増の1400億7600万円、経常利益は同1.6%増の1440億8500万円、当期純利益は同1.6%減の951億2900万円だった。営業利益、経常利益は増益を果たしたものの、最終利益は24年ぶりに減益となった。
なお、ニトリホールディングスでは決算期変更をしており、今回発表した2023年3月期決算は13カ月と11日間の変則決算となる。上記の業績の対前期増減率はあくまで参考数値であり、12カ月間の業績を単純比較すると減収減益となっている。
セグメント別に見ると、ニトリ事業の売上高は同21.0%増の8217億8200万円、営業利益が同0.0%増の1353億2900万円。島忠事業の売上高が同1.7%減の1346億6400万円、営業利益が同35.6%増の41億1200万円であった。
ニトリホールディングスは2023年3月期、「ニトリ」を43店舗、「デコホーム」を33店舗と新規出店を進め、都内には2つの旗艦店(目黒通り店・池袋サンシャイン60通り店)を出店。出店以外だと、開店時間の1時間繰り上げや家具・家電商品の無料配送を実施したほか、一部商品をお試し価格で提供するなど、顧客満足を高める各種施策を推進してきた。
こうした経営努力があった一方で、急激な円安および原油高による輸入コスト上昇などにより売上原価が大きく増加し、利益を圧迫した格好だ。