ユニクロのサステナビリティ活動22年の歩みと未来 #1 服屋だからこそできること
ユニクロが1999年以来の「フリースブーム」で売上を倍々と伸ばす中、同時に社会貢献活動を立ち上げていたことを知る人は少ない。その活動はその後も広範に渡って発展し、いまやサステナビリティ先進企業になっている。
連載第2回は、入社以来22年サステナビリティ一筋のファーストリテイリング広報部部長のシェルバ英子氏にこれまでの歩みについて取材。またファーストリテイリンググループ上席執行役員の柳井康治氏にファーストリテイリングの目指す新たな事業モデル図について、そしてマーケティングを統括するファーストリテイリンググループ執行役員の遠藤真廣氏には、サステナビリティアンバサダーである「ドラえもん サステナモード」の誕生について取材した(第2回は全3話構成)。
2001年、フリースブームと同時期に社会貢献室が発足
コーポレート広報部部長でサステナビリティを担当するシェルバ英子氏(以下、シェルバ氏)がユニクロに入社したのは、2001年7月。それまでは米国カジュアルチェーンの原宿店で働いていた。当時7900円で販売していたフリースジャケットの売れ行きが止まり、同じ原宿にある「ユニクロ」というブランドの1900円のフリースジャケットが爆発的に売れていることを知った。
ユニクロに入社して間もなく、現在のサステナビリティ部の前身である社会貢献室が発足し、シェルバ氏はそこに配属された。
1999年から2000年にかけてフリースブームが起きている一方で、柳井正会長兼社長(以下、柳井社長)はある焦燥感に駆られていたという。創業当初から「会社は社会のためにある」と考えていた柳井社長は、売上が上がれば上がるほど、「儲けっぱなしではダメだ。早く利益を社会に還元できる企業にならなければ」という思いを強くしていった。そして、2001年に立ち上げた組織が社会貢献室だ。
当時のユニクロは、売上が1999年の1000億円から毎年倍々で増え、2001年には4200億円になっていた。しかし、本部社員は200名ほどで、組織の役割が細分化されていない、ベンチャー企業のような雰囲気があった。社会貢献室も2~3名からのスタートだった。
「社会貢献室といっても、自分も初めてですし、そもそも会社としても初めてのことなので、何をしたらいいのか、本当にわからないことだらけでした。でも会社も今ほど大きくありませんでしたから、柳井社長と一緒に何をすべきか考えることができたのは、今思うと恵まれていました」(シェルバ氏)
柳井社長との決め事は「服屋だからこそできること」
柳井社長との話し合いの中で、自分たちの強みである「服屋だからこそできること」「店舗があるからこそできること」について考えていった。その結果、まず活の3本柱となったのが、「瀬戸内オリーブ基金」「障がい者雇用」「緊急支援」。
「建築家の安藤忠雄氏が呼びかけ人である瀬戸内オリーブ基金に賛同し、ユニクロの店頭に募金箱を置いたり、各店舗に障がい者の方を採用したり、2001年のアフガン侵攻からパキスタン国境付近に避難したアフガニスタン難民に、防寒着を寄贈しに行きました。もう一つ、2002年からフリースのリサイクルをスタートして、これがいまの全商品リサイクルの取り組みにつながっています。当時から私たちはたくさんのフリースを世の中に流通させていたので、ゆくゆくは着古されたものが一定量出てくるだろうということで、フリースに着目したリサイクル活動を始めました。その頃アパレルでこうしたリサイクル活動をやろうという会社もほとんどなかったので、業界としてはかなり早かったと思います」(シェルバ氏)
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