落語家・立川志ら乃のスーパーマーケット徒然草   第5回 江古田のスーパー全部まわるぞ!(後編)

立川志ら乃(落語家)
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後輩の落語家・立川談吉とともに東京・江古田周辺のスーパーを全部回るという計画を実行に移した立川志ら乃。3軒めに訪れた地域密着系の「スーパーみらべる」では、談吉がプリンに感動するかと思えば、志ら乃は「カレー風味」の商品に心を踊らせる――。そしてスーパーめぐりはまさかの結末を迎えることに。

前編中編

カレー粉の発注ミスでもしたのか!? 
「カレー風味」の商品が山積みの総菜売場に驚愕

スーパーみらべる
いかにも”地域密着系”なスーパーみらべる

 さて、江古田スーパー回りの3軒めは、「スーパーみらべる」。当時、今よりもはるかにスーパーへの入店経験数が少なく、スーパーに対する”嗅覚”の感度は低かったと思いますが、そんな私でも「ここは地元密着系スーパーだな」とひと目でわかる雰囲気。子供の頃、母親と通ったスーパーの「あの」感じ。

 「スーパーみらべる」のホームページを見ても、大手スーパーとは違い、変にスタイリッシュなデザインではないのもむしろ好印象。とくに店舗一覧に掲載されている各店舗の「店長コメント」は、一生懸命さが伝わってくる必読モノです。

  「こういうスーパーに行かなくてどこに行くんだ!」

 と談吉と私は意気揚々と店内散策。そして一番衝撃を受けたのが、お総菜コーナーにすらりと並んでいた「カレー風味」の商品たちでした。たまたまそういう日だったのかもしれませんが。

 とにかく、カレー粉の仕入れを間違えたのか、はたまた、新商品開発があまりうまくいかず、「しょうがないから全部カレー風味にしてしまえ!」という裏事情でもあったのかと思うほどの”カレー風味商品”の占有率だったのです。

談吉よ、お前はプリンにもうるさかったのか

  そんな異様な光景に対峙している私に談吉が、

 「兄(アニ)さん、『極プリン』って知ってますか?」とプリンを手に近づいて来ました。

 見ると、そのプリンには確かに「極」と書いてあったのです。

  「何それ、初めて見た」

  「これ…『優勝』のプリンです」

 談吉曰く、これまでいろいろ食べたなかで一番のプリンらしい。調べてみると、愛知県の栄屋乳業という会社から発売されている「こだわり極プリン」という商品でした。

 「お前、プリンにうるさいタイプの落語家なの?」

 「…割とうるさいかもしれません」

  味などももちろん、添加物等の有無や、近くのスーパーでお手軽に買えるかどうかなどが評価基準だとか。「めちゃくちゃ高いけど美味しい!」みたいなケースは当たり前なのでこの選には漏れるとのこと。肉ばかりではなく(中編参照)、プリンにもこだわりを持っている談吉に対する嫉妬心からか、筆者はこの日からさまざまなプリンを買い漁る日々を送っています。

 ちなみに後日、「スーパー三徳」のオリジナル商品「なめらかシルキープリン」が極プリンと互角に渡り合うことになるも、三徳でしか購入できないという点が足を引っ張り、「極プリン」がトップの座を譲ることはありませんでした。立川談吉、ただ一人の男の中でのことではありますが。

 そして、この「極プリン」が立川流運営の一端を担うアイテムになろうとは、この時は気づく由もありませんでした。その話はまた後日。

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