半導体回復時期「よくわからなくなってきた」=WD日本法人社長
[東京 27日 ロイター] – ウエスタンデジタルジャパン(東京都港区)の小池淳義社長は27日、ロイターのインタビューで、年後半に回復するとみられていた半導体メモリー市況について「よくわからなくなってきた」と述べ、不透明感が増しているとの認識を示した。
ただ、長い目で見れば「5G(第5世代移動体通信システム)や自動運転、データセンターなど巨大な需要が待っていることは間違いない」と語り、それに向けて準備を進める姿勢を強調した。
小池社長は足もとの市況について「需要と供給のバランスがまだうまく取れていなことに加え、不確定要素も増えており、厳しい状態が続いている」と指摘。先行きについても「ちょっとよくわからなくなってきたというのが正直なところだ」と慎重な見方を示した。同社は現在、在庫調整を進めているが「4─6月期も調整が全部できたという状態にはならないだろう」という。
半導体分野をめぐっては、中国勢も政府の補助金をバックに取り組みを強めており、業界では警戒感が広がっている。小池社長は、対抗するには「技術(開発)を絶対に止めてはだめで、(巨額な)投資に勝てるような先行技術を絶えず持っていることが大事だ」と指摘。差別化する上で「積層技術が一番カギになる」と語った。
ウエスタンデジタルは17日、提携している東芝メモリ(東京都港区)が岩手県北上市に建設中の北上工場第1製造棟について共同で設備投資を実施すると発表した。同製造棟では96層3次元フラッシュメモリを手掛け、2020年中の生産開始を目指す。
提携している中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)との取引については「法律と規制要件を完全に遵守していく」と述べ、規制に従う姿勢を示した。今後については「潜在的な収益への影響を軽減するのに役立つ戦略を整えている」としたが、具体策についての言及は避けた。
(山崎牧子 志田義寧)