米国小売で加速する「店舗小型化」の真相 狙いはどこにある

平山 幸江 (在米リテールストラテジスト)
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米国の小売業界では、年間の閉店数が新規出店数を超える“小売の黙示録”ともいえる状況は一段落し、今年は現時点で5年ぶりに新規出店数が閉店数を超えている。久々に出店攻勢がかかるなかで目立つ動きが、店舗の小型化だ。一概に「小型化」といっても、各企業によってその戦略や内容は異なっている。

ターゲットにコールズが追従

 店舗小型化の成功例といえば、2012年に「シティターゲット(City Target)」を開発し、その後大都市圏で着実に出店を拡大して今や新規出店のほとんどを小型店が占める、ターゲット(Target)がまず挙げられるだろう。同社は19年度末時点で100を超える小型店を有し、その後毎年約30店舗ずつ増やしている。

 ターゲットの標準的な店舗面積は1万2500㎡だが、当初多くのシティターゲットは7400㎡前後だった。14年には2000㎡以下とさらに小型の「ターゲットエクスプレス(Target Express)」をミネソタ大学の近くに開業している。翌15年にシティターゲットとターゲットエクスプレスを「ターゲット」の屋号に統一し、16年にはニューヨーク・マンハッタンのトライベッカに4180㎡の小型店を出店、その後都心部での出店を加速した。

マンハッタンにあるターゲットの小型店
マンハッタンにあるターゲットの小型店(筆者撮影)

 ターゲットは現在、4600㎡以下の店舗を小型店と定義し、大都市商圏あるいは大学周辺に出店することで20~30代のミレニアル世代、ならびにZ世代を“ターゲット”にしている。ディスカウンターでありながら、洗練された雰囲気の店づくりを得意とする同社にとって、この戦略は的を射たものといえる。以前から拡充を進めているネット販売、店舗ピックアップ、配送サービスなどをこの小型店戦略と組み合わせることで、幅広い年代層の取り込みを図るねらいだ。

 この戦略を追従するかにみえるのがコールズ(Kohl’s)だ。同社は今年5月に、今後4年間で小型店を100店舗出店することを発表。同社の標準店は7500㎡だが、その半分以下である約3200㎡で出店するという。立地は従来どおり郊外の路面店が中心になるが、より商圏ニーズに合わせた“ハイパーローカル”な品揃えとサービスを提供していく計画を示している。

コールズの小型店のプロトタイプ(
コールズの小型店のプロトタイプ(広報資料より)

 実はコールズは18年3月から、小型フォーマット20店舗をテスト展開してきた。同社の戦略的ブランドパートナーである「ナイキ」「アンダーアーマー」「ラルフローレン」の限定ブランドのほか、プライベートブランド(PB)など売れ筋を中心とした品揃えで、郊外に多く住む、ターゲットより少し

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記事執筆者

平山 幸江 / 在米リテールストラテジスト

慶應義塾大学、ニューヨーク州立ファッション工科大学卒業。西武百貨店勤務後1993年より渡米。伊藤忠プロミネントUSA(Jクルージャパン)、フェリシモニューヨーク、イオンUSAリサーチ&アナリシスディレクターを経て2010年より独立。日系企業の米国小売事業コンサルテーションおよび米国小売業最新トレンドと近未来の小売業をテーマに、ダイヤモンド・リテイルメディア、日経MJ他に執筆、講演会多数。

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