実店舗にも必須! AmazonやInstagramに学ぶ「発見型」の購買体験

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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みなさんはECで商品を購入する際、どのように目的のものを探しますか? ほしい商品を検索窓に入力し、検索結果の中から理想のものを探す人も少なくないでしょう。しかし最近では、検索せずとも自動的におすすめされた商品の中から発見して選ぶという購買体験が広がっています。今回は、この「発見型」の購買体験についてお話しします。

Male hand is browsing an online shop on digital tablet which is selling shoes.

検索はもはや“手間”に

 小売業界では、顧客の購買行動を基にした莫大なデータを分析・活用する動きがますます大きくなっています。これによりAI化がさらに進行し、顧客が興味を持ち、購入してくれそうな商品を自動でおすすめできるようになりつつあります。SNSでも、TikTokなどをはじめとして能動的な検索機能は端に追いやられており、基本的には自分が好きなものが流れてくるタイムラインを受動的に見ることが当たり前になっています。そして、このような習慣が一般的になると、必要なものや欲しいものをわざわざ自分で検索・選択するという行為自体がなくなる可能性が高くなります。

 たとえば、ZOZOが運営するファッションECZOZOTOWN」で服を購入する際、これまでは検索してサイズやカラーを絞り込み、ページをどんどん下っていくという探し方をしていました。しかし、その購入体験自体が相対的にあまりよいものではなくなってきているのです。

 わざわざ自分が欲しかった商品を思い出してから、購入のために「Tシャツの色は黒でサイズは」と条件を絞り込んでいくのは意外と手間がかかります。このような検索による「目的買い」は以前は当たり前でしたが、実は現在における買物体験上では顧客に負担をかけているのです。

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

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