全米主要都市への出店も!? リユース大手ブックオフホールディングスの次の一手

崔 順踊(リテールライター)
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国内外にリユースショップを展開するブックオフグループホールディングス(神奈川県)は7月1日、2022年5月期通期決算を発表した。リユース・リサイクルのリーディングカンパニーとして書籍や服飾・貴金属のみならず、加工食品や鉄道施設内での忘れ物に対する事業も展開する同社。最新決算の概要と、今後の経営戦略についてレポートする。

ブックオフの”訳あり”加工食品売場

国内はトレカ・ホビー、海外は米国事業が好調

 ブックオフホールディングスの22年5月期の実績は売上高が915億円、営業利益が17億円、経常利益が23億円、当期純利益が14億円となった(21年5月期に決算期変更をしているため、前期比較はなし)。

 国内ブックオフ事業では、トレカ・ホビー売場の拡張やデュエルスペース(対戦用スペース)、家族連れのお客が楽しめるスペースの設置などするなど今期は15店舗の既存店リニューアルに投資したこともあり、コロナ禍での規制緩和にともなう消費動向の回復も相まって、トレカ・ホビーを中心に既存店の売上高が予想を大きく上回る結果となった。とくに国内新品トレカ市場は「ポケモンカード」の人気が後押しして急拡大しており、並行して中古市場も同様の伸びを示している。

加えて、公式スマホアプリの会員数が22年5月末時点で519万人まで伸長しており、店舗における売上客数が前年同月期間を上回る水準となった。このうちレジ通過客数(延べ)の3割超がアプリ会員となり、カード会員を超えていることからも会員獲得ペースの加速が今後も期待される。

 プレミアムサービス事業(旧:富裕層向け事業)では、大手百貨店内11拠点で買取窓口を展開する「hugall(ハグオール)」も人流回復や貴金属相場の上昇などによりコロナ前の水準を大きく上回っている。

 海外事業では9店舗を展開している米国事業がインフレの追い風もあって大きく利益貢献した。現地では本・ソフトメディアの買取・販売が好調であり、日本アニメのフィギュアやグッズ、「Manga」などが人気となっており、エンターテイメント性の高い店舗としての地位が確立しつつある。

「ひとつのBOOKOFF」構想を進化

 ブックオフグループホールディングスは23年5月期を、コロナ禍において抑制していた事業投資を再度積極化し、今後の利益成長に向けたターニングポイントとなる1年と位置付ける。とくに、グループ収益の土台となる国内ブックオフ事業の収益をより強固にするとともに、成長期待事業における出店およびアクションを加速化する。

 国内ブックオフ事業では、本・CD・DVD・ゲームソフトのほかに、衣料品やスポーツ用品、ベビー用品、ブランド品、楽器、生活雑貨なども扱う「BOOKOFF SUPER BAZAAR」業態を毎期1~2店舗新規出店するとともに、「エンタメ型BOOKOFF」へ毎期4~5店舗のリプレースも実施していく。

 また公式スマホアプリを起点に、リアル・ネット双方でお客様の利用機会を最大化することをめざす「ひとつのBOOKOFF」構想を積極的に展開する。

 店舗による買取網維持に加え、アプリサービスの拡充を図り公式スマホアプリの会員数を23年には600万人規模に拡大する計。そのための施策として来店・購入のほか、アプリ起動にもインセンティブを付与するロイヤリティプログラムを今年中に開始する予定だ。

 加えて店舗・EC間の連携強化やデジタル・トランスフォーメーション(DX)も推進する。そのほか、従来のセール型・ダイレクト広告から定常的な集客を目的とした価値訴求型・ブランド広告にマーケティング戦略を転換するとしている。

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