魚離れから一転、21年の鮮魚部門が好調の理由と、スーパーが売場を進化させるポイントとは
世界的に魚食が注目される中、日本の魚介類の消費量は減少傾向にある。ただ、その一方で「魚を食べたい」と願う消費者は多く、実際に2021年の年末商戦における食品スーパー(SM)の鮮魚部門の業績は好調だったという。消費者はSMの鮮魚売場に何を期待しているのか。SMはそれにどう応えていけばいいのか。
世界で注目される魚食、2021年末商戦も好調
世界的に魚食が注目されている。2013年に「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたのを機に、インバウンドから魚介類をはじめ和食が注目されるようになった。最近は「魚と健康」がメディアに取り上げられることが増え、魚食の注目度が高まっている。また、輸送技術の進化や食品流通の国際化を背景に、鮮度や品質、取り扱いの基準が充実したことで、魚介類の品質も格段によくなっている。
そうした背景もあって、世界の食用魚介類の消費量はこの50年で2倍に増えた。国際連合食糧農業機関(FAO)が発表している「世界漁業・養殖業白書2020年」によれば、1人当たりの魚介類の年間消費量世界平均(粗食料比較)は18年の20.5㎏から、30年には21.5㎏にまで増えることが予想されている。
国・地域別にみると、中国での魚介類の消費量は50年前の約8~9倍と異常な伸びを示しており、インドネシアも同期間で約3倍に消費量が膨れ上がっている。魚食習慣があるノルウェーやオセアニアでも増加傾向にあり、今後は米国や韓国、ヨーロッパ、アフリカでの消費増大が見込まれる。その一方で、日本での魚介類の1人当たり消費量は01年の約40.2㎏をピークに減少し続け、 19年には23.8㎏とほぼ半減している(農林水産省「食料需給表」より)。
ただ、ある意識調査では、約6割の人々が「魚を食べる量や頻度を増やしたい」と回答している。このような変化は20年後半から少しずつ見られるようになっており、21年はとくにその傾向が顕著だったように筆者は思う。実際、筆者が食品小売各社からいただいた21年の年末商戦の販売実績を見ると、鮮魚部門の売上高は対20年比で104~120%に伸長しており、利益率も堅調に推移している。
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