実質GDP、2四半期ぶりプラス成長 コロナ前水準「概ね回復」と山際担当相
[東京 15日 ロイター] – 内閣府が15日発表した実質国内総生産(GDP)1次速報によると、2021年10―12月期の成長率は前期比1.3%増、年率換算で5.4%のプラス成長となった。前期比プラスは2四半期ぶり。山際大志郎経済財政相は実質GDP水準について「おおむねコロナ前の水準まで回復した」との認識を示した。
ロイターが民間調査機関18社を対象に実施した事前予測では、前期比1.4%増、年率換算で5.8%のプラス成長になると見込まれていた。発表された成長率は事前予想を小幅に下回った。
GDPの多くを占める個人消費は前期比2.7%増と、2四半期ぶりにプラスに転じた。行動制限の緩和を受けて高い伸びとなったかたちで、伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは「緊急事態宣言の解除以降に消費が急回復してGDPを大きく押し上げた」と指摘した。
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介・上席主任エコノミストは「サービスを中心とした個人消費の回復が今回の押し上げの主因」と述べた。
消費とともに内需の柱となる企業の設備投資も前期比0.4%増と、2四半期ぶりのプラスだった。内閣府によると、半導体製造装置などの生産用機械がプラスに寄与した。
民間住宅投資は前期と比べて0.9%のマイナスだった。政府の消費支出は前期比0.3%減と、3四半期ぶりに減少した。新型コロナワクチン接種の関連支出が一巡した。
輸出は前期比1.0%増と2四半期ぶりに増加した。一方、輸入は同0.3%減少し、GDP全体に占める外需寄与度は0.2%のプラス寄与となった。内需は1.1%のプラス寄与だった。
ウクライナ情勢も注視
10―12月GDPについて山際担当相は「東南アジアでの感染拡大に伴う部品供給不足の緩和もあり、個人消費、輸出、設備投資がプラスになった」とし、年度内回復を想定するGDP水準のコロナ前回復について、おおむね回復したとの認識を示した。
実質季節調整系列で21年10―12月期GDPは541兆3879億円と、19年10―12月期の542兆2440億円に迫ったことを念頭に置いた発言とみられる。GDP公表後の記者会見では「1―3月期についてはまだ、どう評価するかできる状況にない」との認識も示した。
現時点では22年1―3月期もプラス成長を予想する声が多い。ただ、オミクロン株の感染拡大に伴う行動制限の強化で消費の伸びが抑えられそうだ。
日本経済研究センターが実施したESPフォーキャスト2月調査(回答期間1月28日─2月4日)によると、1―3月期GDPは年率1.70%増と、1月調査に比べて3.35%ポイント下方修正された。
山際担当相は「オミクロン株の感染拡大により消費マインドが低下しており、今後の感染状況や世界的な供給制約、資源・原材料価格の高騰による景気の下振れリスクに十分注意する必要がある」とし、緊迫化するウクライナ情勢を巡って「間接的な(経済)影響も含め、注意深くみていく」との考えも述べた。