クリティカルマスが1兆円になったドラッグストア業界で、食品強化型が再編を焦らない理由
ドラッグストア業界で再編が起こり続ける2つの本質的な異業態との違い
なぜ、ドラッグストア業界では猛烈な再編が起こるだろうのか?その理由は2つある。それは、①コンビニと比べればプレーヤー数が多く、寡占化の余地が多分に残されていることに加え、②本質的に差別化がしにくい業態であるためだ。
前者については、全国に企業数が416社(17年度、日本チェーンドラッグストア協会)ある上、有力企業の顔ぶれがわかる2019年度ドラッグストア売上高ランキングをみれば、再編余地があることは一目瞭然だろう。
後者については、ドラッグストアの品揃え、店舗規模、役割が関係している。ナショナルブランド(NB)が非常に強いカテゴリーである医薬品、化粧品、加工食品を中心とした品揃えであること、店舗規模が小さいため、売れ筋に絞った商品政策となることから、スーパーマーケットなどと違って品揃えで差別化することが極めて困難なのだ。結局、メーカーと強い交渉力を持てるかどうか、つまり、バイイングパワー=規模の力がモノをいう業界というわけなのだ。だから、各社のトップは勝ち残りを賭けて、M&Aに走るのである。
とはいえ、ドラッグストア業界ではM&Aによる成長を明確に否定する有力企業もある。例えば業界5位のコスモス薬品だ。毎年新店を大量に投下することで、平均店舗年齢の若さを強さの源泉の1つとする同社は「M&Aによって古い店舗網を買うことに投資をしても仕方がない」というスタンスをとる。また、北陸の有力企業、くすりのアオキホールディングスやGenky DrugStores(以下ゲンキー)も自力出店による成長を機軸としている(クスリのアオキは直近では18年前に1店舗譲り受けしている)。
ここで気づくのが、この3社は偶然ながら、立ち位置が他のドラッグストアとは異なることに気づく。食品の売上構成比が圧倒的に高く、北陸の2社に至っては、生鮮4品までフルラインで品揃えする(ゲンキーの場合、鮮魚は塩干のみ)店舗も展開している。
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生き残るドラッグは各特性に合わせ、2~3社ずつか⁉