クリティカルマスが1兆円になったドラッグストア業界で、食品強化型が再編を焦らない理由 

2019/08/29 05:00
『ダイヤモンド・チェーンストア』編集長 阿部幸治

食品強化型とスペシャルティ型は共存することができる

 つまり、この3社は同じドラッグストアとはいえ、消費者に果たす役割が異なると考えられるのだ。たとえばコスモス薬品は、日用雑貨、生鮮3品以外の食品等の日常の暮らしに必要な消耗品を低価格で販売する500㎡型の小商圏店舗、ゲンキーは生鮮食品までフルラインで品揃えする「近所で生活費が節約できる店」をコンセプトとする店舗だ。菓子や飲料を中心に加工食品まで取りそろえると言っても、美と健康を中心に位置づけるマツキヨ、調剤併設型を基本とするスギ薬局の店舗とは立ち位置が異なる。食品の売上構成比をみても、コスモス薬品とゲンキーが6割近いのに比べ、マツキヨは1ケタ台、スギ薬局は20%未満と大きな違いがある。したがって、店のコンセプトによって同じドラッグストアを標榜しても、部分的にしか競争しないケースもあると言えるわけなのだ。

 ゲンキーの藤永賢一社長も「ドラッグストア業界は今後15年ぐらいかけて3社ぐらいに集約されるだろう」「そうしたなか、スペシャルティ型ドラッグストアと生活型ドラッグストア、あるいはもう1つのタイプぐらいで、それぞれ3社ぐらいずつ残ることになるのかもしれない」と語る。その点を踏まえると、生活型ドラッグストアのクリティカルマスは、まだ、4000億円程度ということができるかもしれない。

 さて、業界全般で食品の取り扱いを強化して、売上の底上げを図っているなか、いかにしてスペシャルティ型ドラッグストアは「美と健康」という専門性のなかに食品を位置づけることができるか、あるいは新たにスペシャルティと生活型をハイブリットさせたコンセプトを構築できるか、という点が焦点になるだろう。一方、生活型は、小商圏を制圧する競争力の高い業態をつくり上げることができるか、そのためにSPA(製造小売り)型の商品開発体制の構築、ローコストオペレーションの追求、生鮮食品の効率的かつ効果的な取り扱い、といった点の巧拙が勝敗を分けることになるだろう。

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