実はスゴイ!!須田清社長が教える、東急ストアが6期連続で既存店売上プラスの理由
小型店フォーマットが好調グループ外からの出店要請も
──今後の新規出店の予定はいかがですか。
須田 20年2月期は4月に「武蔵小杉店」(神奈川県川崎市)を開店したほか、11月には東急グループが東急田園都市線「南町田」駅前で開業予定の大型商業施設「グランべリーパーク」(東京都町田市)内にも新店をオープンします。
今後さらに新規出店を強化する計画で、21年2月期までに東急線沿線を中心に7店舗の出店を検討しています。そのうち半数は都市部立地で総菜と生鮮食品を強化する小型フォーマット「フードステーション」としてオープンする見込みです。
──その「フードステーション」の状況はいかがですか?
須田 これまで5店舗出店していますが、いずれの店も売上が好調に推移しています。売場面積100坪以下でも、ローコストオペレーションにより店舗運営ができるモデルを確立できたと思っています。
出店競争の激しい首都圏では、売場面積300坪を確保できる物件はなかなかありません。そうしたなか、今後は都心やオフィス街ではない住宅地での「フードステーション」の出店にも挑戦する方針で、すでに候補となる物件も挙がってきています。
──18年9月には、東急グループが開業した大規模複合施設「渋谷ストリーム」に、バイオーダー商品の販売にもチャレンジした新フォーマット「プレッセ シブヤデリマーケット」(以下、デリマーケット)を開業しました。
須田 改善の余地はありますが、手ごたえを感じています。さらに「渋谷ストリーム」上層階のオフィスの開業や、渋谷エリアの再開発が進むのに合わせて売上が伸びる計画です。
また、有り難いことにデリマーケットを見た、東急グループ以外のデベロッパー企業から、東京23区内での出店のオファーを複数いただいています。今後、新たな出店機会を拡大できるフォーマットとして育成していきたいと考えています。
──独自商品の開発については、どのような方針を掲げていますか。
須田 プライベートブランド(PB)商品については、開発・販売を強化していく方針です。現在は私鉄系SMで構成する八社会(東京都)の価格訴求型PB「Vマークバリュープラス」と、当社の価値訴求型PB「Tokyu Store Plus」の2種類を扱っています。売上高構成比は全体の13.6%(19年5月現在)で、これを早急に15%まで高める目標です。
また、関西で店舗展開する、同じく電鉄系SMの阪急オアシス(大阪府/並松誠社長)さんが開発した商品の取り扱いも始めています。同社のバイヤーの商品調達のレベルは非常に高く、そのノウハウを学ぶべく18年から菓子バイヤーを出向させており、最近では共同による商品開発も行うようになっています。
──最後に、東急ストアの中長期的な成長戦略を教えてください。
須田 まずは東急線沿線のドミナントを固めていきます。現段階では、全体で約100ある東急線の駅の半分にも出店できていません。将来的にはすべての駅に当社の店舗をオープンすることをめざしています。
企業として売上高や店舗数を増やしていくことはもちろんですが、成長の先にあるビジョンとして、東急グループが掲げる「日本一住みたい沿線」に、リテールの中核事業会社として貢献することが重要だと思っています。