小売業IT&DXアンケート結果を発表!「情報セキュリティ強化」と「業務効率化」が加速する
III.システムへの投資、クラウドサービスの活用実態
業務効率化の動きがますます加速
24年度の情報システム関連の年間支出額(図表❹)については、全体の約38.9%が「1.0%~1.5%未満」と回答した。
また、今期の情報システム関連予算の前期比の伸び率(図表❺)は、前回より6.4ポイント(pt)増加の「横ばい」(36.4%)が引き続き1位となり、次いで「5.0%以上の増加」(22.7%)、「10.0%以上の増加」(13.6%)、「2.5%未満の増加」(9.1%)となり、前回とほぼ同様の結果となった。
来期の情報システム関連予算の伸び率の見込み(図表❻)は、前回3位であった「横ばい」(36.4%)が15pt以上増加し、1位となった。続いて「10.0%以上の増加」(31.8%)が2位、「2.5%未満の増加」(13.6%)が3位となった。
為替の変動や原材料費の高騰など、先行きが不透明な状況が続くなか、小売業を取り巻く環境は依然として厳しい。こうしたなかで、適切な情報の収集および活用を行うシステムへの投資は、顧客満足度の向上と業務の効率化を図る上で不可欠となっている。
実際、多くの企業が来期の情報関連システムの予算を増やしていることからも、今後も情報システムへの投資が拡大し、デジタルシフトの流れはさらに加速すると考えられる。
直近1年以内に導入したシステムのうち、成果を挙げたものはどのようなシステムで、具体的な成果はどのようなものだったのか(図表❼)について、自由記述での回答を求めた。とくに多く見られたのはセルフレジおよびフルセルフレジやPOSシステムの刷新により、決済業務やレジ部門の労働時間が削減できたという意見だ。
次いで、自動発注システムや電子棚札の導入によって店舗の業務効率改善、人時の削減成果があったという意見も見受けられた。そのほか、社員のAI利活用の浸透推進、店舗間情報共有システムの導入による情報の一元化、不正監視システム導入による不正の未然防止などが挙げられた。
クラウドサービスの利用状況について(図表❽)は前回に引き続き「基幹システムをクラウド上で運営」(33.3%)が1位となった。次いで「そのほかのシステムのみクラウド上で運営」(29.2%)が2位、「ECサイトをクラウド上で運営」(16.7%)が3位となった。
他方、「クラウドサービスは使っていない(利用予定なし)」(8.3%)という企業は前回に比べ約8pt以上増加している。
運用管理の負担軽減やセキュリティ対策として基幹システムをすべてクラウドで運営するという企業も増加する一方で、利用を見送る企業も前回に比べ増えている。ここから企業のクラウド活用に対する姿勢が二極化していることが明らかになった。
IV.リテールメディアの取り組み内容、事例と成果
リテールメディアは28%の企業が導入
現在リテールメディアに取り組んでいるか(図表❾)について聞いたところ、「いいえ」(52%)が約半数を占めた。続いて「はい」(28%)が2位で、「実証段階中」と合わせると32%となった。残りが「開始予定」(8%)と「検討中」(8%)が同率で3位に並んだ。
データの利活用による効果的な販促施策の実施や顧客体験の向上など多くのメリットが明示される反面、初期コストなどが導入のハードルになっていると推測できる。
上記設問に「取り組んでいる」と回答した企業を対象に、リテールメディアの具体的な取組事例と、成果について自由記述形式で回答を求めたところ、メーカーの販促企画を売場と連動するかたちで実施したことによって、売上が150%伸長したという報告が見られた。
また自社アプリでの広告掲載や、購買データを活用した外部メディアへの広告配信によって収益を得たという回答もあった。
リテールメディアで成果を出すためにはメーカーとの連携が不可欠である。両者が密接に連携を取れば購買促進効果が期待できることを示している。












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