くら寿司がAI養殖を取り入れた新会社設立、「スマート養殖」のかたちとは?
必要な分だけ養殖するハイブリッド魚「ブリヒラ」も販売
さらにくら寿司は、ハイブリッド魚「ブリヒラ」の販売も発表している。ブリヒラは、雌のブリと雄のヒラマサを交配したもので、ブリの脂のりや旨味と、ヒラマサの歯応えをあわせ持つ「おいしいとこ取り」のハイブリッド魚だ。「近大マグロ」で知られる近畿大学が1970年に開発して以降、安定的生産のための研究や販路構築を進めてきた。あらかじめ売買価格と出荷量を決めて必要な分だけ養殖するスタイルで、上でも述べた養殖業の問題解決や、持続可能な漁業を実現する新時代の養殖業のあり方として注目を集めている取り組みのひとつだ。
ブリヒラは既にSMチェーンのベイシア(群馬県/橋本浩英社長)や、宅配寿司チェーンの銀のさら(ライドオンエクスプレスホールディングス:東京都/江見朗社長)で販売実績を有するが、一般認知度はまだまだ高いとはいえない。くら寿司では多くの人に興味を持ってもらうため、人気の寿司ネタフェアなど集客力の高いイベントと合わせて全店で販売を開始するなどの工夫も行った。
魚をメイン食材とする回転寿司業界は、乱獲による漁獲高の減少や、海外の魚食ブームなどによる取引価格の上昇の影響をダイレクトに受けざるを得ない。これらの取り組みを通じて、供給量・価格ともに安定的に魚を確保することができるようになれば、競合他社との大きな差別化にも繋がりそうだ。