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進むインフレで激変する消費者の買物志向 付加価値は環境・ローカルから健康・栄養へ

在米リテールストラテジスト:平山 幸江 (在米リテールストラテジスト)
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消費者の購買態度はますます複雑になり、小売企業やCPG(消費財)ブランドへの期待はますますエスカレートするーー。ユーロモニターインターナショナル社リテール&デジタルコンシューマーインサイツのグローバルリード、ミッシェル・エバンス氏はこのように、低価格だけでは納得しない現在の消費者像を描き出した。NRF2025のユーロモニターによるセッション「北米グロサリーリテールトレンド2025」の内容をまとめた(以下文中データの出典は全てユーロモニターインターナショナル社による本セッションで使用された資料。本稿は特集「生成AIとエージェンティックAIが小売を変える!NRF2025」のオンライン有料読者限定特別コンテンツです)。

Ildar Abulkhanov/istock
Ildar Abulkhanov/istock

25年もインフレ懸念は継続
低価格フォーマットが成長

 2025年の世界の実質経済成長率(GDP)は3.2%増と予測されているが、先進国計で1.7%増、米国は2.0%増となっており、安定的だが期待を下回る成長が見込まれている。大きな要因は、緩和傾向がみられるもののなおインフレが続くためだ。トランプ新政権は関税引き上げを推進する見通し(※本セッション時は大統領就任前)、物価のさらなる高騰が懸念されている。ただし消費意欲は、「警戒心」を残しながらも改善の方向にある。

 北米の食品小売市場の25年成長率はわずか1%増という予測だが、ECは5.2%増、飲食サービスは2.7%増で、食品小売市場全体の伸びを上回る。とくにECの高い成長が食品小売市場全体を牽引している。また、北米で成長性が高い食品のリアル店舗小売はディスカウントストアとメンバーシップホールセラー(会員制倉庫型卸売)である。特に業界トップのコストコ(Costco)の過去数年の年平均成長率は10%と高く、伝統的食品スーパーから市場を奪っている。

生鮮食品ECで
ウォルマートに迫るインスタカート

米国オンライングローサリーの市場シェアが高いウォルマートとアマゾン、ただし商品カテゴリーによって成功内容が異なる
出典:ユーロモニターインターナショナル社「パスポートEコマース」
図表1 米国オンライングロサリーの市場シェアが高いウォルマートとアマゾン、ただし商品カテゴリーによって各社の強みはバラバラ
出典:ユーロモニターインターナショナル社「パスポートEコマース」

 米国食品EC市場の上位5社は順にウォルマート(Walmart)、アマゾン(Amazon.com)、インスタカート(Instacart,同社は取引総額)、クローガー(Kroger)、ターゲット(Target)。だが図表1をみると、非食品ではアマゾンが圧倒的に強いものの

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在米リテールストラテジスト

平山 幸江 / 在米リテールストラテジスト

慶應義塾大学、ニューヨーク州立ファッション工科大学卒業。西武百貨店勤務後1993年より渡米。伊藤忠プロミネントUSA(Jクルージャパン)、フェリシモニューヨーク、イオンUSAリサーチ&アナリシスディレクターを経て2010年より独立。日系企業の米国小売事業コンサルテーションおよび米国小売業最新トレンドと近未来の小売業をテーマに、ダイヤモンド・リテイルメディア、日経MJ他に執筆、講演会多数。

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