注目のキーワード
  • x
  • facebook
  • rss

小売業をより進化させる!生成AI活用7つの領域とは

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
Pocket

生成AI活用④需要予測と在庫の最適化

 小売業では長年、発注や在庫管理において過剰在庫や欠品が問題視されており、とくに季節商品ではその影響が大きく出ていました。この課題に対しても生成AIの導入により、需要予測の精度が大幅に向上しています。つまり生成AI活用4番目は「需要予測と在庫の最適化」です。

 これまでの予測は、天候やイベント、店舗や商品の特性に基づいて在庫量を調整してきましたが、データの限界があり正確な予測が難しい場面も多くありました。

 たとえば、店舗に訪れる人数や、その中で実際に商品に触れた人数、さらにその顧客の性別や年齢、来店頻度など、詳細なデータを収集することは困難でした。しかし、これらの情報を把握できれば、在庫の最適化に必要な精度を格段に高めることができます。

 今後は、店内に設置されたカメラを通じてAIが顧客の行動を認識し、判断することで精度が向上していきます。これまでカメラやそのほかの端末を使った認識技術が進まなかった背景には、カメラや端末にかかるコストが大きな負担となり、毎月の維持費が生成AI導入コストに影響を与えていたことがボトルネックとなっていました。

 しかし、近年ではカメラ導入コストが大幅に下がり、需要予測や在庫の最適化が進んでいます。

生成AI活用⑤商品企画、商品開発への活用

 また、小売業では、単に商品を仕入れて販売するだけでなく、OEMや商品企画など、商品開発の重要なシーンにおいても生成AIの活用が大いに期待されています。小売業では、店舗に訪れる顧客のニーズを直接聞き出すことが難しく、とくにセルフレジが普及したスーパーマーケットなどでは、前述の通り顧客との会話すらないことが一般的です。

 しかし、楽天市場やAmazonなどの大手ECサイトのレビューを生成AIに分析させることで、顧客がどのようなニーズやトレンドで商品を購入したのかを瞬時に把握できるようになっています。

 このような「生成AIによるレビュー分析」は、ニーズやトレンドを的確に把握し、新商品の開発に大きく貢献する可能性があります。

 さらに、レビューだけでなく、SNSや化粧品専門サイト「アットコスメ」などでも、AIが売れている商品の成分やデザインを解析し、新たな商品企画に活かすことができます。このような商品開発における生成AIの活用は、今後さらに幅広い分野で進化し、すでに多くの企業が導入を進めている領域です。

+2
1 2 3 4

記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態