小売業をより進化させる!生成AI活用7つの領域とは
生成AI活用④需要予測と在庫の最適化
小売業では長年、発注や在庫管理において過剰在庫や欠品が問題視されており、とくに季節商品ではその影響が大きく出ていました。この課題に対しても生成AIの導入により、需要予測の精度が大幅に向上しています。つまり生成AI活用4番目は「需要予測と在庫の最適化」です。
これまでの予測は、天候やイベント、店舗や商品の特性に基づいて在庫量を調整してきましたが、データの限界があり正確な予測が難しい場面も多くありました。
たとえば、店舗に訪れる人数や、その中で実際に商品に触れた人数、さらにその顧客の性別や年齢、来店頻度など、詳細なデータを収集することは困難でした。しかし、これらの情報を把握できれば、在庫の最適化に必要な精度を格段に高めることができます。
今後は、店内に設置されたカメラを通じてAIが顧客の行動を認識し、判断することで精度が向上していきます。これまでカメラやそのほかの端末を使った認識技術が進まなかった背景には、カメラや端末にかかるコストが大きな負担となり、毎月の維持費が生成AI導入コストに影響を与えていたことがボトルネックとなっていました。
しかし、近年ではカメラ導入コストが大幅に下がり、需要予測や在庫の最適化が進んでいます。
生成AI活用⑤商品企画、商品開発への活用
また、小売業では、単に商品を仕入れて販売するだけでなく、OEMや商品企画など、商品開発の重要なシーンにおいても生成AIの活用が大いに期待されています。小売業では、店舗に訪れる顧客のニーズを直接聞き出すことが難しく、とくにセルフレジが普及したスーパーマーケットなどでは、前述の通り顧客との会話すらないことが一般的です。
しかし、楽天市場やAmazonなどの大手ECサイトのレビューを生成AIに分析させることで、顧客がどのようなニーズやトレンドで商品を購入したのかを瞬時に把握できるようになっています。
このような「生成AIによるレビュー分析」は、ニーズやトレンドを的確に把握し、新商品の開発に大きく貢献する可能性があります。
さらに、レビューだけでなく、SNSや化粧品専門サイト「アットコスメ」などでも、AIが売れている商品の成分やデザインを解析し、新たな商品企画に活かすことができます。このような商品開発における生成AIの活用は、今後さらに幅広い分野で進化し、すでに多くの企業が導入を進めている領域です。
デジタル化と小売業の未来 の新着記事
-
2025/03/17
EC業界の生成AI活用事例1 文章作成からデザインまで大幅な工数削減を実現! -
2025/01/27
小売業をより進化させる!生成AI活用7つの領域とは -
2024/12/19
AI投資で関心の高い6領域は?生成AI、小売業の期待と課題 -
2024/06/18
物流「2024年問題」に対応!物流拠点分散化のメリットと可能性 -
2024/05/13
中小企業でもECの翌日配送を実現できる『物流拠点の分散化』とは -
2024/04/02
配送料も続々値上げ…迫る「物流の2024年問題」が小売業界に与える影響
この連載の一覧はこちら [42記事]
関連記事ランキング
- 2025-12-01【特別レポート】カインズ、ノジマが導入、顧客満足度と業務効率を変えた位置情報DX
- 2025-09-04コスモス薬品が挑む『欠品も過剰在庫も極限まで防ぐ』緻密な仕掛け
- 2025-12-03【特別レポート】在庫リスクを抑えて拡大、GMV34.3%成長を実現した450社の戦略モデル
- 2025-06-05セブン‐イレブンの真のデータ民主化生成AI基盤「AIライブラリー」とは?
- 2025-06-16メガトレンドが突きつける、小売業界「9つの未来課題」とは
- 2025-07-03「AI活用」を武器に海外セブン-イレブンの変革も支える小売業の立役者
- 2025-10-28【特別レポート】コスモス薬品が採用─RELEXのAI需要予測が支える再現性ある判断
- 2025-01-27小売業をより進化させる!生成AI活用7つの領域とは
- 2025-04-17生成AIを「活用するだけ」ではもったいない! 「過程」を商品化すべき理由
- 2025-05-19海の向こうのセブン-イレブンに学ぶ—SCMと販促改革の最前線




前の記事


クローガーが予測「25年の5大フードトレンド」、セインズベリーのアルディ対策とは