ファッション業界特化の生成AI「Maison AI」が実現する未来とは
進化の先に見据える自立した「AI従業員」としての成長
今後、期待されるのは、生成AIのさらなる進化だ。現状のMaison AIがバックエンドでつながっている文章生成AIはChatGPTシリーズのGPT4で、上田社長によると「あくまでも肌感覚だが、人に置き換えると入社4~5年目の有能な20代社員レベルの知識・スキルを持つイメージ」だ。
現状、各部門で10~20年のキャリアを積み上げてきた社員には専門性でかなわない面はある。だたし次に続くGPT5が開発中であり、年内にもリリースされるのではないかといわれている。
「GPTシリーズの対抗馬とされる、米Anthropic(アンソロピック)社が提供するClaude3は、30~40代の能力を持っている感があり、GPT5も同程度のレベルになると考えられる」(上田社長)
さらに2025年にはGPT6が登場する見通しも語られる。そうすればMaison AIは、いわゆるアイデアの「壁打ち」の枠を超え、より本格的に自立した「AI従業員」として成長していくだろう。
Open Fashionではそれまでの間にも、さらなる機能の充実を継続的に図り、ファッション企業が取り扱う商材の中でカテゴリーを広げ、アパレル、アクセサリー、バッグ、シューズだけでなく、家具・インテリア、雑貨、フードといった関連するプロンプトをストア機能で提供。現状の約60種類から2000種類まで拡張する予定という。なお、Maison AIは5月14日(日本時間)にリリースされたChatGPTの最新モデルGPT-4oをすでに導入完了している。
また、ゆくゆくは基幹システムと連携して販売管理や生産管理などを効率化することも視野に入れているそうだ。
「最終的な意思決定は人が下すが、基本的にはほぼすべてのデータと連携してAIが分析してアイデアを出す。そうなると思っている」(上田社長)
Maison AIで最終的に目指すのは業務効率を2倍にすること。そうやって生まれた時間を、在庫や廃棄の問題などファッション業界が抱える根深い課題を解決する取り組みに割けるようにしていきたいという。果たしてAIの進化は、どれだけ人を楽にしてくれるのか。注意深く見守っていきたい。