判定コストが激減!青森発、コメの銘柄を10秒で判定するAI搭載アプリとは
あらゆる産業でDX化が進むが、コメの流通においては、いまだ人手に頼らざるを得ない分野がある。コメの銘柄判定もその1つ。そんな中、東北地方でコメの卸売業を営むKAWACHO RICE(カワチョウライス 青森県/川村靜功社長)がAIでコメの銘柄を判定するアプリを開発し、特許を取得した。果たしてどのようなアプリなのか。取締役の川村航人氏に話を聞いた。
銘柄を間違えて流通させることはできない
日本人の主食であるコメ。青森県三沢市にあるKAWACHO RICEでは、生産から消費までの米流通を総合的にコーディネートし、公正な農産物検査を実施したうえで、銘柄米を全国各地に届けている。1932年設立の青果業務に携わる川長商店と、1967年設立の雑穀業務に携わる二葉商会が合併して1983年に誕生した川長の米穀部門から独立分社化、長年にわたって検査、保管、流通をワンストップで手掛けてきた豊富な実績がある。
主に青森・秋田県内の生産者から委託された銘柄米の卸販売を手掛けているKAWACHO RICEは、コメ作りを継承するために「稼げる農業」を前提として生産者に対するさまざまなサポートを行っているほか、時代の流れを読み取って消費者のニーズ応える新商品の開発や販売活動にも積極的に取り組んでいる。たとえばグループ会社が手掛ける「PeboRa(ペボラ)」は、無洗米をボトリングして売り出したペットボトルライスで、直営ショップやECで販売している。首都圏の百貨店にポップアップストアを開設して話題となったこともあるヒット商品だ。
川村氏によると、農作物検査法に基づいて行われるコメの検査の中でも、成分等検査によって1~3等の等級を決める品位検査では機械化がある程度進んでおり、精米機などの大手メーカーでは品質判定機器も取り扱い、その数値を参考に検査員が等級を付けているという。その一方、品種や銘柄は検査員の目視検査もしくはDNA鑑定でしか正確に判定できないのが現状だ。検査員には銘柄を間違えて流通させることはできないという大きなプレッシャーがかかり、DNA鑑定には数万円~数十万円のコストがかかる。その課題に向き合って開発されたのが、コメの銘柄を判定するAI搭載のアプリ「Rice Tag(ライス タグ)」だ。