めざすは4次元ポケットのないドラえもん!家庭用ロボット「LOVOT」大ヒットの理由
実証実験で「きずな形成の促進」を証明
生産性至上主義の観点では、ある意味「ムダ」なテクノロジー活用といえるかもしれない。だが、実際には、社会に恩恵ももたらしている。GROOVE Xが資生堂と共同で行った実験では、LOVOTと共同生活した人は、オキシトシン濃度が高いことが判明している。オキシトシンは「きずな」の形成に関与するホルモンとして知られており、人間の親子や人間と犬の間で、視線を介し、分泌が促進されることが報告されている。
最新テクノロジーで仕事の生産性を劇的に高めることが可能なように、LOVOTもしっかりと人間がより人間らしくいられるような側面に恩恵を与えている。コロナ禍で、出荷台数を10倍以上伸ばしたLOVOT。それは決して偶然ではなく、コミュニケーションの希薄化が広がった人間間の微妙な隙間を、LOVOTが人間に代わって埋めてくれた。その結果、自ずとニーズが高まっていったのだ。
さらなる伸長が見込まれる家庭用ロボット市場
家庭用ロボット全体に目を向けると、2015年前後から魅力的な製品が続々と登場し始めた。富士ソフトのPALRO、シャープのロボホン、MIXIのRomi、全世界で15万台以上販売したソニーのAiboも復活するなど、いわゆるコミュニケーションロボットのカテゴリーは、じわじわとその裾野を拡大。2023年に入ると、「ChatGPT」の登場とリンクしながら新たなフェーズに突入している。
家庭用ロボットの多くは単体の費用に加え、月額の維持費を設定した販売形態で、ユーザーとの長い付き合いを想定。その市場規模は2000億円以上ともいわれ、今後、さらに伸長するとみられている。
その推進力となるのは、やはり、「クオリティ」ということになる。ハード面では、コミュニケーション力や応答速度、動きや耐久性、ソフト面では顧客や故障対応などのアフターケアの充実が不可欠だ。過去にも、家庭用ロボットがブームになったが、結局は技術的な中途半端感が否めず、継続的な満足を与えられずに失速した。