ユーザー事例 イオン株式会社
イオングループでは、店舗業務に活用するハンディターミナルのリプレイスにあたり、5社の機種をさまざまな条件で比較・検討した結果、シャープの新機種「RZ-H260シリーズ」を高く評価し、導入を決定した。
機種選定で重視したことは、店舗スタッフが使いやすい操作性と機能性であった。ハンディターミナルを効率よく運用・管理できる端末統合管理ツール「intAlerm(イントアラーム)」も併せて導入し、店舗業務の効率をさらに向上させていく考えである。
導入の背景:リプレイス期を迎えてさまざまな機種から店舗のスタッフ目線で選定
イオングループ企業全体で現在使用しているハンディターミナルの台数は4万台以上あり、保守サービス期間終了に合わせて順次リプレイスするかたちで新機種の導入を継続している。
昨年9月にリプレイス期を迎えたハンディターミナルの入れ替えでは、5社の機種が選定候補となり、イオングループのシステムの開発・維持管理を行っているイオンアイビス株式会社が中心となって選定が行われた。
今回の選定を担当したイオンアイビスITソリューション営業本部 本部長の杉田雅彦氏は「当社グループの北海道から九州のスーパーマーケット(SM)各社のシステム部長が集まって行う情報交換会に、選定候補のハンディターミナルの実機を持ち込み、実際に見て、触ってもらい、アンケートを実施した」という。
ハンディターミナルは今、過渡期にある。形状としては「スマートフォンのようなタイプ」と「テンキー一体型タイプ」がある。OSは「Windows」か「Android」かが選べる。候補機種をさまざまな条件に照らし合わせ、現場の意見も取り入れて、操作性や機能性、持ちやすさ、耐久性などを比較。新機能や先進性だけではなく、従来業務をさらに効率的に行うことができる機種を選ぶこととした。その結果、最終的に高い評価を受けたのが、シャープのハンディターミナル「RZ-H260シリーズ」であった。
選定理由と活用状況:データ入力を重視した使い勝手や文字が見やすい大画面は店舗スタッフに好評
採用する機種の選定では、あらゆる角度から検討を重ねた。
今回「RZ-H260シリーズ」の導入を決めた理由は、まず、現在まで使用し続けてきたシャープの機器とサービスに対しての信頼があったことだ。イオンアイビス ITソリューション開発本部 店舗システム部 周辺システム開発グループの本間徹氏は「シャープのハンディターミナルは、丈夫で壊れにくい。実際に7年から10年使っているハンディターミナルもある」とのことで、グループで4万台以上の台数を保有するイオングループにとっては、耐久性の高さは運用コストにつながるため、重要なポイントとなった。
OSについては、現状ではAndroidのバージョンアップのサイクルが3年単位と早く、アプリの動作検証頻度などの課題を考慮し、今回の選定では見送った。「今回は従来からのWindowsで継続したが、次回の選定ではAndroidとの比較が本格化すると考えている」(杉田氏)。
選定過程では、形状も検討課題であり「スマートフォンのようなタイプ」にするか、「テンキー一体型タイプ」にするかについては、グループ企業内の使用環境や作業内容を重視することにした。ハンディターミナルは多彩な機能を有しているが、同グループでは、在庫管理や発注業務のような「データ入力業務」で活用することが最も多い。
コミュニケーション業務としても使用するなら、スマートフォンのようなタイプが適しているが、データ入力にはテンキー一体型の方がスピーディーな入力ができる。「前回のリプレイスではスマートフォンのようなタイプを採用したのですが、店舗スタッフからソフトキーボードよりもテンキーの方がデータ入力がしやすいという声が多く寄せられた」(杉田氏)ことから、今回は「テンキー一体型タイプ」を採用した。SMのスタッフからの、片手で握って、テンキーのボタン操作がしやすい機器という要望に応える選択をした。
「持ちやすさと操作性に対する評価が一番高かったのが、シャープのハンディターミナルだった」と本間氏。店舗スタッフが、業務で使用する際の使い勝手のよさと機能性、耐久性などを総合的に判断した選定結果となった。
さらに、ハンディターミナルを効率よく運用・管理する端末統合管理ツール「intAlerm」も今回導入している。「以前から端末管理は行っていたが、より詳細な機器管理が可能となれば、適正台数の把握や、業務の効率化を促進できると考えた」と杉田氏は語る。
端末の状況管理として、「使用」と「未使用」、修理などの「一時停止中」、「廃棄済み」などを見える化することで、稼働状況が把握できる。杉田氏は「たとえば、ある店舗のハンディターミナルの稼働時間を確認したとき、1台が午前中だけ稼働し、別の1台が午後だけ稼働している場合、これは2台ではなく1台でも運用が可能かもしれない。このような分析を行うことで、各店舗および各部門の適正台数を割り出すことができる」と語り、運用コストの最適化に役立つことに期待している。
その他、業務アプリのアップデート対応など、今後も「intAlerm」を活用することで、より効率のよい運用管理をめざしていく考えである。
将来の活用イメージ:電子決済ツールとしての可能性も模索
流通小売業界では、人材不足や、消費税率の引き上げへの対応など課題が多く、それらへの対応策が求められている。 ハンディターミナルの選定ではパソコンやスマートフォンなどの機器の操作に詳しくない店舗スタッフでも、簡単にすぐに使える操作性や、壊れにくい点を重要視してきた。売場での仕事の効率化と簡素化は、人材不足への対応策のひとつにもなる。一方で、多機能化しているハンディターミナルの新しい用途を模索する時期にきており、「店舗スタッフだけのツールではなく、お客さま側も使うツールという考え方もある」(杉田氏)。
消費税率10%への移行に伴って、電子決済が注目を集めている。ハンディターミナルをレジでの会計をスムーズにする前さばき業務に使用することや、電子決済を行えるようにするなど、決済業務でも活用できる機器ととらえている。
「業務改善や効率化とともに、社会の変化やお客さまのニーズに応えるためハンディターミナルの新しい活用法を検討し、費用対効果なども考慮しながら、今後のハンディターミナルのあり方とスマートフォンとの差別化を考えていきたい」と杉田氏は話す。
現状での業務に特化した使用方法と、今後の新しい活用法。杉田氏は「当社でも検討することですが、長くお付き合いしているシャープさんの技術力やノウハウから、新しい提案もいただけたら」と期待している。
今後の課題でもあるOSの選定も含め、ハンディターミナルを店舗スタッフの業務だけでなく来店されたお客さまに向けてフルに活用していくために、イオンアイビスでは、時代とともに変化していく業務への新たな可能性を広げるツールとして期待している。