参入はできるだけ早く! 3つのアプローチで考える「メタバース×小売」の未来

伴 大二郎 (株式会社ヤプリ エグゼクティブ・スペシャリスト/株式会社顧客時間 プロジェクトマネージャー/db-lab代表)
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メタバースB大

2021年10月にフェイスブック(Facebook)がメタ(Meta Platforms)に社名を変更したのをきっかけに、世界的に「メタバース」という言葉が注目されるようになっている。現在はゲームの要素が強いメタバースだが、将来的に生活やエンタメ、買物が一体となった世界になっていくといわれており、先進的な小売業はすでに各プラットフォームで自社のメタバース空間を展開している。本稿では、小売業がメタバースに取り組んでいく際のアプローチ方法について考えてみたい。

2021年10月から検索数が爆発的に増加

 2021年の終わり頃から「メタバース」という言葉を見聞きすることが多くなったのではないだろうか。Google Trendsを見ると、フェイスブックがメタに社名変更した21年10月から、日本国内では「メタバース」、グローバル(すべての国)でも「metaverse」の検索数が急増していることがわかる(図表❶)。22年1月に行われた、世界最大のデジタルの見本市「CES」や世界最大の小売の祭典「NRF2022 Retail’s BigShow(以下、NRF2022)」でも、メタバースが話題の中心となっていた。

図表❶「メタバース(metaverse)」のGoogle検索数の推移

 NRF2022の「Retailing in theMetaverse」と題した基調講演で、消費者動向の未来予測などを行う英企業WGSN Insightのシニア・ストラテジストであるカサンドラ・ナポリ(CassandraNapoli)氏は、フェイスブックが社名変更した経緯に触れ、12年には94%あった10代の「Facebook」アカウント保有率は21年には27%まで下がり、「Facebookは親世代が過ごす、まったくクールではない場所」となっていると指摘。若い世代は「Instagram」「TikTok」「Snapchat」といったSNSへと移っており、その先にメタバースがあるのだと説明する。

 近い将来、若い世代が長い時間を過ごす場所としてメタバースが存在するとなると、多くの企業が取り組みを開始していることも納得できる。しかし今の取り組みは、メタバースが持つ可能性のほんの一部にすぎない。メタバースはこれからの10年間進化を続け、定着すると見込まれる。挑戦は始まったばかりなのだ。

 では、「メタバース」

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記事執筆者

伴 大二郎 / 株式会社ヤプリ エグゼクティブ・スペシャリスト/株式会社顧客時間 プロジェクトマネージャー/db-lab代表
小売業界においてCRMの重要性に着目。一貫してデータ活用の戦略立案やサービス開発に従事した後、2011年にオプト入社。マーケティングコンサルタントを経て、 15年よりマーケティング事業部部長として事業拡大に向けた組織作りに着手。マーケティングマネジメント部やOMO関連部門等々を立ち上げ統括しながら組織を拡大。海外のイベントや企業訪問など、小売、リテールの情報を収集し社内外への発信活動を行う。21年にdb-labを設立し株式会社顧客時間にプロジェクトマネージャーとして参画。同年6月より、株式会社ヤプリのエグゼクティブスペシャリストに就任。

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